2022 Fiscal Year Annual Research Report
体外培養条件による性決定エピゲノム変異克服への挑戦
Project/Area Number |
20K09596
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡下 修己 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助教 (10757933)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性決定 / 体外受精 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
Jmjd1a欠損マウスは雌雄の中間的な表現型を示す。しかし、このJmjd1a欠損体を体外受精を用いて作製した場合、Jmjd1a欠損体の雌雄のバランスが雌へと傾き、全ての個体が卵巣を2つ有する完全な性転換個体となった。この結果は、体外受精・培養が性決定に影響を与える可能性を示唆していた。そこで本研究では、体外受精・培養におけるどのような要因が性決定に影響を与えているのか解明することを目的とした。本研究では、①体外受精で用いる培地、②体外受精の使用する雄マウスの年齢を要因に候補とした。 ①では培地の組成を変えることで媒精時における精子の運動能力や受精卵培養時における受精卵の発生に影響が出てしまうため、正確な影響を明らかにするのは困難であった。②では体外受精に加齢マウスの精子を用いることでJmjd1a欠損体の性転換が促進することが明らかになっていた。その原因を明らかにするためSryの発現およびSryプロモーターのDNAメチル化解析を行った。その結果、体外受精に加齢マウスの精子を用いた場合において、Sryの発現低下およびそれに伴うSryプロモーターのDNAメチル化の上昇が観察された。 本研究の実施によって、体外受精により作製した個体では自然交配によって生まれた個体に比べ、Sryの発現が低いこと、またその原因としてSryプロモーターのDNAメチル化が高くなることが明らかとなった。さらに体外受精時に加齢マウスの精子を用いることで性転換が促進されることも明らかになった。
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