2021 Fiscal Year Research-status Report
アミロイドβを標的とした新たな側面からの胎盤形成不全の病態解明
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20K09605
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
西辻 和親 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40532768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池崎 みどり 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40549747)
岩橋 尚幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50750907)
井箟 一彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60303640)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧腎症 / アミロイドーシス / Aβ |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧腎症 (PE) は産科領域における代表的疾患である妊娠高血圧症候群の一病型であり、高血圧・蛋白尿・浮腫を主徴とする妊娠合併症であす。母児の予後に大きく影響するPEの確実な治療は妊娠の終了であるため、治療法の開発が急務である。PE発症と胎盤形成不全は密接に関連するため、本研究ではタンパク質凝集病としてのPEの側面に新たに着目し、PE病態解明に挑んでいる。昨年度に続き、当該年度もコロナウイルス感染症の蔓延によりイレギュラーな研究環境となった。昨年度は、効率的に研究を遂行するためにヒト由来検体の解析に専念したが、当該年度においては、in vitroの解析に専念した。昨年度のヒト検体の解析において、胎盤形成不全の病態と胎盤におけるAβ沈着が関連する可能性が強く示唆された。これを踏まえ、当該年度は、AβがCTBのシンシチウム化に及ぼす影響について解析した。ヒト妊娠性絨毛癌BeWo細胞ではフォルスコリン添加により合胞体化を誘導することが出来るため、これを栄養膜細胞(cytotrophoblast: CTB)によるシンシチウム化解析のモデル細胞として用いた。その結果、これまでシンシチウム化に必須とされてきたいくつかのタンパク質の発現や細胞内局在がAβによって変化すること、これによりBeWo細胞におけるフォルスコリン誘導性のシンシチウム化が阻害されている可能性があることが分かってきた。これら解析を継続するとともに、次年度は当該年度保留にしていたヒト検体解析も再開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先にも述べたように、昨年度に続き当該年度もコロナウイルス感染症の蔓延によりイレギュラーな研究環境となった。そのため、当初予定であるヒト検体の解析とin vitroの分子メカニズム解明を同時に行うことが困難と考え、昨年度はヒト検体の解析に集中した。当該年度はin vitroの解析に専念し、Aβがシンシチウム化に及ぼす影響について一定の成果を得ることができた。これと昨年度のヒト検体の解析結果を併せると、当初目的の一つである限局性アミロイドーシスとしてのPE病態概念の提唱に前進したと考えられる。しかしながら、上述のように、ヒト検体とin vitroの分子メカニズムを並行して行うことができなかったため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行う予定であっヒト検体の解析を再開する。また、ヒト胎盤絨毛モデル細胞としてさらにHTR8/SVneo細胞を用いた細胞機能評価を行う。、細胞性栄養膜細胞モデルBeWo細胞についてはシンシチウム化、絨毛膜外栄養膜細胞モデルHTR8/SVneo細胞については浸潤能を基に行う。PEとアルツハイマー病の病態に共通する分子Aβの代謝について、アルツハイマー病で報告がある危険因子がPE病態にも影響を及ぼしうるのか、上記細胞を用いて解明を行う。
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Causes of Carryover |
生化学実験用試薬、免疫組織化学用試薬、抗体等の購入に際し、できる限りキャンペーンを利用するなどして節約に努めたため、当初予定金額より支出が抑えられた。また、コロナウィルス感染症の蔓延により研究環境が変化し、当初計画を変更して行ったため、次年度使用額が生じた。コロナウイルス感染症の蔓延により予定していた国内学会、国際学会への参加を取りやめ、さらに研究打合せも自粛したため、予定していた旅費の支出も抑えられた。 使用計画:前年度のヒト検体の免疫組織化学的を踏まえ、今年度はより詳細な生化学的解析を行う。このための細胞培養用培地、添加試薬、プラスチック消耗品、生化学実験用試薬の購入に充てる。また、本年度はヒト検体の解析も再開する。そのため、免疫組織化学的解析用試薬の購入にも充てる予定である。従って生じた次年度使用額の大部分はより詳細なin vitro実験及びヒト検体の解析の遂行に必須である。コロナウイルス感染症の状況次第で国内外の学会での成果発表も積極的に行う。
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[Journal Article] Extracellular endosulfatase Sulf-2 harbors a chondroitin/dermatan sulfate chain that modulates its enzyme activity2022
Author(s)
R. El Masri, A. Seffouh, C. Roelants, I. Seffouh, E. Gout, J. Perard, F. Dalonneau, K. Nishitsuji, F. Noborn, M. Nikpour, G. Larson, Y. Cretinon, M. Friedel-Arboleas, K. Uchimura, R. Daniel, H. Lortat-Jacob, O. Filhol, R.R. Vives
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 38
Pages: 110516
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Lipid Droplet Accumulation Independently Predicts Poor Clinical Prognosis in High-Grade Serous Ovarian Carcinoma2021
Author(s)
N. Iwahashi, M. Ikezaki, M. Fujimoto, Y. Komohara, Y. Fujiwara, M. Yamamoto, M. Mizoguchi, K. Matsubara, Y. Watanabe, I. Matsuzaki, S.I. Murata, Y. Ihara, K. Ino, K. Nishitsuji
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Journal Title
Cancers
Volume: 13
Pages: 5251
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Extracellularly Released Calreticulin Induced by Endoplasmic Reticulum Stress Impairs Syncytialization of Cytotrophoblast Model BeWo Cells2021
Author(s)
N. Iwahashi, M. Ikezaki, K. Nishitsuji, M. Yamamoto, I. Matsuzaki, N. Kato, N. Takaoka, M. Taniguchi, S.I. Murata, K. Ino, Y. Ihara
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Journal Title
Cells
Volume: 10
Pages: 1305
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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