2022 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβを標的とした新たな側面からの胎盤形成不全の病態解明
Project/Area Number |
20K09605
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
西辻 和親 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40532768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池崎 みどり 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40549747)
岩橋 尚幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50750907)
井箟 一彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60303640)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胎盤 / アミロイドβ / 栄養膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アルツハイマー病患者脳で老人斑(アミロイド斑)として沈着するアミロイドβが胎盤でも産生される可能性があることに着目し、開始したものである。昨年度までの研究により、ヒト胎盤モデル細胞がアミロイドβを産生すること、胎盤形成不全を主病因とする妊娠高血圧腎症患者の胎盤ではアミロイドβが沈着することが分かっていた。しかしながら、アミロイドβの生理的、病態的役割は不明であり、最終年度には胎盤モデル細胞を用いてアミロイドβの生理的役割およびアミロイドβ凝集体の病態的役割の解明を行った。胎盤で主要な機能を担う栄養膜細胞は、細胞性栄養膜細胞、絨毛外性栄養膜細胞、合胞体性栄養膜細胞の3種類に大別できる。細胞性栄養膜細胞は高い増殖能を持ち、絨毛外性栄養膜細胞と合胞体性栄養膜細胞へと分化する。絨毛外性栄養膜細胞は子宮内膜に浸潤し、絨毛間腔へ酸素や栄養を供給する母体らせん動脈のリモデリングを行う。絨毛外性栄養膜細胞のモデル細胞の浸潤能はアミロイドβ単量体存在下で亢進し、アミロイドβの産生阻害剤の存在下では低下した。したがって、アミロイドβ単量体は絨毛外性栄養膜細胞の浸潤を制御することにより、らせん動脈のリモデリングに関与していることが示唆された。次に、合胞体性栄養膜細胞に分化する細胞性栄養膜細胞のモデルとしてヒト絨毛癌由来BeWo細胞を用いた。昨年度までの研究から妊娠第3半期以降の妊娠高血圧腎症患者胎盤でアミロイドβの沈着が見られることが分かっていたため、妊娠後期でのアミロイドβの異常な凝集、沈着が胎盤形成不全に関与するのではないかと考え、実験を行った。その結果、アミロイドβ凝集体は細胞性栄養膜細胞から合胞体性栄養膜細胞への分化を抑制することが分かった。以上、胎盤形成、胎盤形成不全におけるアミロイドβの生理的、病態的役割の概要が解明されたため、本研究の当初の目的が達成されたと考えられた。
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[Presentation] Complementary role of GlcNAc6ST2 and GlcNAc6ST3 in synthesis of CL40-reactive sialylated and sulfated glycans in the pleural mesothelium2022
Author(s)
Yoshiko Takeda-Uchimura, Midori Ikezaki, Tomoya O. Akama, Kaho Nishioka, Yoshito Ihara, Fabrice Allain, Kazuchika Nishitsuji, Kenji Uchimura
Organizer
国際シアロ糖鎖科学会議2022 (Sialoglyco2022), Nagoya University, Aichi, Japan
Int'l Joint Research
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