2020 Fiscal Year Research-status Report
帝王切開瘢痕症候群の病態解明と予防法立案の総合的研究
Project/Area Number |
20K09616
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
村上 節 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20240666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 俊一郎 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30601546)
樋口 明日香 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (90613480)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 帝王切開瘢痕症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.帝王切開瘢痕症候群(Cesarean scar syndrome; 以下、CSS)の修復手術時に摘出した子宮峡部創陥凹部のパラフィンブロックの病理学的検討を行った。HE染色において、陥凹部には、微小出血を伴う血管像の走行を確認した。また、帝王切開既往のあるCSS症状のない症例の摘出子宮では子宮峡部創陥凹に子宮内膜上皮がほとんどの症例で確認されたが、CSSの症例では陥凹部には子宮内膜上皮細胞はほとんど認められなかった。しかしながら、IFITM-1陽性あるいはCD138陽性細胞の存在を確認し、陥凹部では子宮内膜症と同様の慢性的な炎症が生じていることが示唆された。 2.当院におけるCSSに対する子宮鏡下手術の予後を後方視的に解析した。帝王切開瘢痕部の残存子宮筋層厚が術前には2mm以下の菲薄化を認めていても、全例合併症なく子宮鏡下手術を完遂できた。手術後の妊娠率が約7割と高率であり、流産率は11%と一般頻度と差異を認めず、周産期予後も良好であった。また、同時に施行した腹腔鏡所見では子宮内膜症の合併率が65%、子宮内膜の組織学的検討で慢性子宮内膜炎の合併率が82%程度あり、帝王切開瘢痕症候群が骨盤内や子宮内で慢性的な炎症を惹起し、それらによる着床障害が続発性不妊の原因であることが示唆された。 3.CSSを予防する方法の確立については、現在、帝王切開時における2種類の縫合方法の無作為前向き試験を行っており、予定通り順調に登録作業が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年はCOVID-19の影響がある中でも後方視的臨床研究を進め、論文化した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.CSSの修復手術時に摘出した子宮峡部創陥凹部のパラフィンブロックの病理学的検討を進める。 2.CSS症例の陥凹部貯留液の生化学的、細菌学的検索を行う。 3.子宮鏡下手術と腹腔鏡下手術の適応を検討する。 4.ヒトにおける研究を進めると共に、サルを用いた縫合創の基礎的検討を行う。
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Research Products
(2 results)