2022 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポゾンスクリーニング手法を用いた子宮平滑筋肉腫の薬剤耐性の解明
Project/Area Number |
20K09617
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小玉 美智子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70791391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 健二郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00452392)
橋本 香映 大阪大学, 医学部附属病院, 特任准教授(常勤) (90612078)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Sleeping beauty / トランスポゾンスクリーニング / 子宮平滑筋肉腫 / 発生 / 増悪 / 薬剤抵抗性 / フォワードジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮平滑筋肉腫は急速に増大し、かつ早期から血行性転移を来す、極めて悪性度の高い腫瘍である。本邦における予後報告では、全病期における50%生存期間は31ヶ月である。限局性腫瘍または孤発性の遠隔転移病変については手術が適応となるものの、腹腔内再発あるいは遠隔転移が50%以上に生じるとされ、前者では平均全生存期間が28.4ヶ月、後者で12.5ヶ月と極めて予後不良の疾患である。子宮平滑筋肉腫に対する術後化学療法・放射線療法の有効性を支持する高いエビデンスはなく、手術以外に有効な治療手段は存在しない。 本疾患に対しては、ドキソルビシン単剤療法あるいはドセタキセル・ゲムシタビン併用療法の他、イホスファミド、トポテカン、パクリタキセル、シスプラチン、エトポシドなどが単剤療法として推奨されている。薬剤選択肢は増えたものの、無増悪生存期間が半年を超えるものはなく効果は極めて限定的と言わざるを得ない。したがって、新規治療方法の創出が望まれている。我々はマウスモデルを用いた網羅的な癌遺伝子同定法であるSleeping beauty(SB)トランスポゾンスクリーニングによって、子宮平滑筋肉腫発症・増悪に関与するドライバー遺伝子を複数同定した。その中より、原発腫瘍に最も高頻度に認められた変異遺伝子であったZfp217及び、肺転移巣でのNrd1について検証を進めた。Zfp217のヒトホモログであるZNF217はヒト子宮平滑筋肉腫において高発現を示しており、また同細胞株において細胞増殖能・遊走能・幹細胞形質の獲得に寄与していた。またNrd1のヒトホモログであるNRDC1については、ヒト子宮平滑筋肉腫の血行性転移部で高発現しており、ヒト子宮平滑筋肉腫細胞株において、細胞増殖能に影響は与えないものの、遊走能・接着能の獲得に寄与していることが示された。これらの結果について英文誌への投稿を行い、掲載受諾となった。
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Research Products
(2 results)