2021 Fiscal Year Research-status Report
補体活性化の妊娠高血圧症候群の病態への関与 -補体系と血管新生系のクロストーク-
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20K09618
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨松 拓治 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (30346209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
味村 和哉 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50437422)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 血管内皮障害 / 補体 / 補体制御タンパク / 抗血管新生因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
補体異常活性化と妊娠高血圧症候群の病態との関連が注目されている。妊娠高血圧症候群の病態メカニズムの中心である母体の抗血管新生状態と、補体異常活性化の二つのメカニズムの関連を基礎的に検討し、抗血管新生状態と補体異常活性化を協調して制御する重要性を示すことを目的にしている。本年度は昨年度に続いて、血管内皮細胞障害における、血管新生系との補体系の関連の検討を行った。また実際の妊婦血清を用いて、補体の活性化状態の評価を行った。 ヒト血管内皮のモデルとしてHUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)を用いて、HUVECにPlGF添加によりHUVECからの補体活性化抑制因子であるCFHの分泌が増加することを示し、血管新生因子が補体活性化の制御能を持つことを示唆した。また、補体活性化抑制因子であるCFHをSiRNAの導入によりCFHの発現が低下させると、HUVECでの生細胞数の減少が示され、補体活性化が血管内皮障害に至るメカニズムの一端を示した。 また、HUVECにPlGF およびsFlt1および妊婦血清を添加すると、補体の最終活性産物であるC5b-9のHUVECへの沈着が増加しており、抗血管新生因子による補体活性の増加のメカニズムの一端が示された。 次に実際の妊婦血清を用いて、蛍光免疫染色でC5b-9のHUVECへの沈着を評価した。正常妊婦血清と比較して妊娠高血圧症候群を発症した妊婦血清では、C5b-9のHUVECへの沈着が多い傾向を認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の第一である論文作成と出版を達成することができた。 実際の妊婦血清を用いた補体活性化の検討を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の妊婦血清を用いた研究で、妊娠高血圧症候群を発症した妊婦血清の補体活性を詳細に検討(蛍光免疫染色でC5b-9のHUVECへの沈着を評価)し、妊娠高血圧症候群の中でも補体の関与が大きいものとそうでないものの鑑別を行いたい。 また、妊娠高血圧症候群の発症のメカニズムには補体の3経路のうちAlternative pathway (別経路)が重要だという報告が出ている。Alternative pathwayを担う、Factor B, Factor Dは近年阻害剤が開発され、臨床応用が模索されている。我々は、妊娠高血圧症候群におけるFactor B, Factor Dの働きを解明することにより、将来の阻害剤を用いた治療につなげることを本年度の目標にしている。
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Causes of Carryover |
購入予定試薬の納期遅延があったため。
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Research Products
(1 results)