2022 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠初期のプロテインS、プロテインC抗凝固因子の変動と産科異常との関連解析
Project/Area Number |
20K09619
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
出口 雅士 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (50403291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 秀人 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (40220397)
谷村 憲司 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (80593988)
笹川 勇樹 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40815304)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロテインS / 不育症 / 産科異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
全妊婦対象の前向きコホート研究については、妊娠8-12週の当院妊婦外来に通院中の母体を対象に遊離プロテインS抗原量と活性、総プロテインS抗原量ならびに活性と比活性、Thrombopathを測定した。なお、採血に際して特に有害事象の発生はなかった。この検査結果をもとにした介入を行わず妊娠経過観察を行い、産科異常の発生状況を調べた。合わせて妊娠中の各検査値の推移についても調査した。 遊離PS活性、抗原ともに妊娠初期に40%前後まで低下(基準値は60%以上)し妊娠中は低値が続く一方、総PS、Thrombopathは妊娠しても変化が少なく、それぞれ70%、80%前後で推移した。 妊娠の異常との関連の前向き解析では各種PS低下と12週未満流産、12週以降流死産、早産、胎児発育不全、妊娠高血圧症候群との関連は認めなかった。後ろ向きの解析では妊娠歴のある女性では遊離PS抗原量、総PS抗原量 5, 10%ile未満が少なく(p<0.05)、22週以降の死産歴と総PS活性 5, 10%ile 未満(OR 6.4, 3.5, p<0.05)、総プロテインS比活性 5, 10%ile 未満(OR 6.9, 4.9, p<0.01)、そして12週以降22週未満の流産歴と遊離プロテインS活性10%ile未満(OR 2.5, p<0.05)が関連した。 以上より総PS比活性低下は低用量アスピリンやヘパリンを使用していない妊婦では、妊娠高血圧腎症のリスク因子であることが分かった。また、総PS活性ないし比活性低下は22週以降の死産歴と、遊離プロテインS活性低下は12週以降22週未満の流産歴と関連することが分かった。
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