2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K09625
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松田 賢一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40315932)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 悪阻 / つわり / 味覚 / 嗅覚 / 女性ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
悪阻(つわり)は妊婦に対し身体的・精神的苦痛を与え、また、女性のキャリアに対して負の影響を与えることにもつながる。したがって、悪阻のメカニズム究明と予防・改善法の確立が極めて重要である。妊娠期の嗅覚と味覚の変調は悪阻の悪心・嘔吐の誘因となる。原因として、妊娠期の内分泌変化が受容器自体の感受性に加え、その伝導路の神経細胞に影響を与えることが考えられる。しかしながら、具体的にどの脳領域のどの神経細胞がホルモンの影響を受け、どのような変化がもたらされることで感覚変調が起こるのかについてはほとんど明らかになっておらず、その分子メカニズムへのアプローチは皆無である。 本研究の目的は、妊娠に伴う嗅覚・味覚変動のメカニズムを、実験動物を用いて、内分泌学的・神経科学的に解析し、悪阻の具体的な原因究明とその予防・改善法確立のための礎とすることである。 研究一年目で、嗅覚・味覚の感受性の変化を評価する行動実験系の確立と、妊娠によって嗅覚・味覚刺激に対する活動が変動する脳領域の同定を行った。非妊娠動物に比べ妊娠妊娠動物の忌避物質に対する忌避反応の感受性が上昇することが確認された。忌避行動行った個体の扁桃体において活性化した神経細胞数が有意に上昇することが明らかになった。 研究二年目で、扁桃体内の亜核において避行動によって活性化される領域を詳細に解析したところ、基底外側核と後外側皮質核で活性化される神経細胞が多いことを見いだした。エストロゲン受容体αの発現をノックダウンするshRNAを発現するアデノ随伴ウイルスを後外側皮質核に感染させたところ、忌避行動が減弱する傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一年目に、実験動物が嗅覚物質・味覚物質に曝されたときに忌避行動を示す最低濃度決定するのに時間を要し、二年目に脳内局所にウイルス液を注入する方法確立に時間を要したたため、研究の進行がややずれ込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
忌避行動に伴って活性化する脳領域として扁桃体を基底外側核と後外側皮質核を同定し、このうち、後外側皮質核でエストロゲン受容体αの発現をノックダウンしたところ、忌避行動が減弱する傾向が見られているが、解析個体数が少なかったために、有意な差とはなっていない。今後個体数を増やすとともに、基底外側核についても同様に実験を進める。また、プロゲステロン受容体をノックダウンするshRNAを発現するアデノ随伴ウイルスを作成済みなので、基底外側核と後外側皮質核に感染させ、忌避行動への影響を解析、エストロゲン受容体との比較を行う。また、基底外側核と後外側皮質核において、性ステロイドホルモン以外の妊娠関連ホルモン受容体の発現を免疫組織化学およびin situ hybridizationで解析、発現量の変化を非妊娠・妊娠動物で比較し、忌避行動制御に関わる新たなシグナル海を明らかにする。明らかになったホルモン系のリガンドを脳内局所に投与し、神経細胞が応答することを確認するとともに、実際に行動に影響を与えるか検討する。さらに、ホルモンのシグナルとその下流分子の動態の解析し、シグナル系の操作による感覚変動を検証する。同定された脳領域をサンプルとし、網羅的リン酸化プロテオミクス解析により、ホルモンのシグナル伝達に変動が見られる脳内分子の解明を行う。非妊娠・妊娠動物でリン酸化量に差のあったスポットを回収、質量分析により分子を明らかにし、悪阻の予防・改善に向けた標的分子の同定を行う。
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Causes of Carryover |
一年目に実験動物が忌避行動を示す試薬濃度決定に時間を要し、二年目に脳内局所にウイルス液を注入する方法確立に時間を要したため、研究の進行がややずれ込んでおり、予定していた生化学・分子生物学的解析が行えなかった。次年度にこれらの解析を実行するために使用する。
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Research Products
(2 results)