2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K09629
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
赤堀 太一 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90573171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 泰 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60323549)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵子幹細胞 / 再生医療 / 生殖補助医療技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は成人卵巣内に存在する卵子幹細胞を用いた生殖補助医療の実現を目指すものである。方法としては卵巣から抽出した卵子幹細胞、顆粒膜前駆細胞から人工卵巣組織を構築する。この人工卵巣を用いて、卵子幹細胞に最適な微小環境を構築し生理的な卵子の分化誘導を行う。具体的な方法としては凍結保存された卵巣組織を融解し、コラゲナーゼにて組織を溶解する。溶解した卵巣細胞懸濁液に一次抗体として抗DDX4抗体を4°Cで15分間反応させる。洗浄の後、蛍光標識された2次抗体を用いてDDX4陽性細胞を標識し、FACSにて分離する。同時に、DDX4陰性細胞も回収する。分離された細胞は、ゼラチンコートした培養ディッシュに播種し、37°C、5%CO2 の環境下で培養する。はじめの7日間は、2日毎に培養液を少量追加し、以降は、コロニーを確認するまで2日毎に培養上清を半量入れ替える。このようにして樹立したOSCsと顆粒膜前駆細胞様細胞を、OSCs:1に対し顆粒膜前駆細胞様細胞:10の割合で混合し、96ウェルのU- bottom非接着性培養ディッシュで培養する。このようにして作成したスフェロイドを約1週 間培養した後、2層式の5μmポアサイズ、96ウェルトランスウェルディッシュのメンブレン 上で培養する。PTEN阻害剤などの分化誘導因子を段階的に加える事により、より生体に近い微小環境をin vitroで再現し、卵胞発育を促し成熟卵子の獲得を目指す。 以上の実験方法に対して2020年度は、ウシ卵巣を用いた実験を継続してきた。ウシ卵巣から抽出された卵子幹細胞および支持細胞である顆粒膜細胞の機能確認のために、培養細胞のPCR法による遺伝子発現の確認および、培養細胞の免疫蛍光染色による機能評価を行なった。これにより各細胞の適合性が確認され、次年度に向けてこれらの細胞を用いた実験を計画することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は多くの実験にPCR試薬を用いた。昨今の世界的な感染症の蔓延の影響を受け、試薬や実験機器の枯渇が起こり実験計画が大幅に遅れたことがあった。実験試薬などの購入量を増やすなどして対応し、影響は最小限にとどめたが当初の計画からは遅延してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に行なった実験結果をもとに、ウシ卵巣から抽出した卵子幹細胞を用いた人工卵巣の構築を行う実験を進める。 年度の前半は培養条件の設定のために培養液の調整や成長因子の濃度設定、投与時期に検討が必要であると思われる。 年度後半は、培養条件をもとに卵子幹細胞の分化誘導を行い成熟卵子の獲得を目指す。さらに、獲得した成熟卵子の機能分析を行う。
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Causes of Carryover |
前項に記したように、世界的な新型コロナウイルス蔓延を受け、実験機材や試薬の枯渇が起こり実験計画の遅延と縮小を余儀なくされた。また、移動や渡航制限により学会やカンファレンス参加のための旅費の支出が行われなかったことにより余剰金が発生した。実験機器や試薬のストックを増やし、発注先を複数にすることにより機材の入荷遅延による影響は最小限にできるようになったため、次年度は予定通り実験計画を履行することを目指す。
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