2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K09633
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
鷹野 正興 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (30258107)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Rimklb / 雄性不妊 / 精子形成 / 性ホルモン / mTOR / Leydig細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請は大腸菌で見いだされたRimK (Ribosomal protein S6 modification protein) のほ乳類におけるホモログであるRimklb (Rimk like protein) に着目し、その精子形成における役割を解明するものである。本申請はRimklb-1アミノ酸欠損マウスの作成によって、雄性不妊が起こることを見いだし、その精子形成における役割を解明するものである。現在まで以下の研究成果が得られた。 1.Rimklbの生体、組織における分布;マウス臓器においては、精巣、心臓において強い発現がみられ、精巣においてはLeydig細胞に強い発現がみられた。 2.Rimklb-1アミノ酸欠損オスマウスを野生型メスマウスと交配しても、産仔は全く得られなかった。 3.Rimklb-1アミノ酸欠損マウスは精巣重量の減少、精細管における空洞化がみられた。また、精子の数、運動能において顕著な減少がみられ、体外受精能もなかった。 4.精子形成において重要なmTOR経路で、p-S6の発現が亢進していた。これらの結果は、Rimklbが精巣のLeydig細胞に局在しており、僅か1アミノ酸の欠失、変異で精子形成に重大な影響を与えることを示しており、Rimklb1が精子形成において重要な役割を果たしていることを示したものである。マウスでRimklbの精子形成における役割が証明されたことで、今後、研究の進捗によって、Rimklbの精子形成への関与、そのメカニズムの詳細が明らかになれば、ヒトにおいても男性不妊の原因となる可能性があり、ヒトにおける病態の解明、治療法への発展とつながる意義がある。また、Rimklb-1アミノ酸欠損マウスをヒトの男性不妊モデルマウスと考えると、治療法、治療薬の開発へと発展する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで研究は概ね予定通りに進展している。我々の目標はRimklbの変異が雄性不妊を引き起こすメカニズムの解明であるが、第一段階として、Rimklbの変異が雄性不妊のどの段階に影響を与えているかを明らかにする事を目指した。結果、Rimklb-1アミノ酸欠損が、精子形成に重大は影響を与えることが明らかとなり、その情報伝達経路としてmTOR系が関わっている可能性が示された。これらのことから、第一段階の目標はほぼ達成できたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次は、Rimklb-1が精子形成へどのようなメカニズムで関わっているかを明らかにする事である。一つはRimklbがLeydig細胞に発現していることから、性ホルモンの代謝に影響を与えている可能性である。この点を明らかにするために、テストステロン、エストロジェン、FSHなどの性ホルモンレベルの測定、また、Cyp11A1、Cyp17A1、Cyp19A1やアロマターゼなど性ホルモン代謝酵素の発現レベルについて検討する。また、mTOR系への影響について、血液-精巣関門への影響について検討を行う。そして、ヒトにおける男性不妊とRimklbの関連を調べるために、ヒト男性不妊患者のExome解析を計画している。幸いにも、男性不妊の臨床研究者が我々の研究に興味を示しており、研究計画が実現する可能性が出ている。
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Causes of Carryover |
試薬費用として計上したものが、実際には購入しなかったものがあり、そのために次年度使用額が生じた。次年度試薬を購入、使用する。
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