2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K09633
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
鷹野 正興 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (30258107)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性ホルモン / Exome解析 / 血液-精巣関門 / 乏精子症 |
Outline of Annual Research Achievements |
Rimklb遺伝子をKOしたマウスを作成を行った。Rimklb遺伝子KOマウスの作成は停止コドンを導入したDNAをCRISPR/CAS9法でターゲットRimklb DNAのExon1に導入することで、Rimklb遺伝子を完全にKOすることを目指したが、得られたマウスはRimklb1アミノ酸欠損型マウス、A29欠損、L30V変異マウスであった。本マウスは雄性不妊の表現型を示しており、精巣の萎縮、精子数、精子運動能が大きく低下していた。また、wildマウスと交配させると、プラグは確認できたものの産仔は全く得られなかった。精細管に空胞が多く見られ、血液-精巣関門形成に関わるp-S6タンパク質が増加していることが分かった。本課題をScientific Reportsに投稿し受理された。ここまででRimklb遺伝子の変異が雄性不妊を引き起こすことが明らかになった。2020-2021年度は主に、性ホルモン産生に関わる酵素、また性ホルモン量について検討を行った。性ホルモン産生に関わる酵素、また性ホルモン量について検討を行った。Rimklb1アミノ酸欠損型マウスにおける血中テストステロン量はWildと比較して差がなかったが、エストロジェンについては、Rimklb1アミノ酸欠損型マウスにおいて1.2倍程度、上昇していた。また、テストステロン産生酵素であるcyp11Aは、Rimklb1アミノ酸欠損型マウスにおいて顕著に上昇していた。ホルモン産生の全体像については明らかでないが、Rimklb1アミノ酸欠損型マウスにおける雄性不妊の原因の一部はホルモン産生における異常の可能性が高いと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Rimklb遺伝子をKOしたマウスを作成し、結果、得られたRimklb1アミノ酸欠損型マウス、A29欠損、L30V変異マウスであった。本マウスは雄性不妊の表現型を示しており、精巣の萎縮、精子数、精子運動能が大きく低下していた。2021年度は主に、性ホルモン産生に関わる酵素、また性ホルモン量について検討を行った。Rimklb1アミノ酸欠損型マウスにおける血中テストステロン量はWildと比較して差がなかったが、エストロジェンについては、Rimklb1アミノ酸欠損型マウスにおいて1.2倍程度、上昇していた。また、テストステロン産生酵素であるcyp11Aは、Rimklb1アミノ酸欠損型マウスにおいて顕著に上昇していた。テストステロン代謝酵素であるAromataseのタンパク質量に関しては変化が見られなかった。現在、精巣内のテストステロン量について検討しているが、Rimklb1アミノ酸欠損型マウスの精子形成における不全の主な原因であるとは考えにくい。また、情報伝達系の解析のため、RNA seq.による網羅的解析を行い、いくつかの量的変化が大きい遺伝子が探索できている。これらのデータを元に現在解析を行っている。なお、ヒトにおいて、Rimklb遺伝子の変異がヒト乏精子無力症と関連があるかについての検討に着手している。RNA seq.に関して、変化の大きい遺伝子は特定できているが、精子形成に関連するかが不明である。そのため、進捗状況はやや遅れていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAseq.によって、変化が明確になった遺伝子を中心に、解析を行い、Rimklbの変異による情報伝達系の解明を行う。また、Rimklbのターゲットタンパク質であるS6タンパク質に関して、二次元電気泳動法を用いて、Gluの付加についての変化がおきているかについて検討する。この実験によって、Rimklbのタンパク質としての生化学的解析を行う。また、ヒト乏精子症患者のゲノム解析によって、Rimklb遺伝子変異との関連性をヒトにおいて明らかにする。
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Causes of Carryover |
予定していた実験が実施できず、次年度実施して使用するため。
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