2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K09633
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
鷹野 正興 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (30258107)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ヒストン / プロタミン / TP2 / β-CG / Rimklb |
Outline of Annual Research Achievements |
Rimklb遺伝子をKOしたマウスを作成を行い、得られたマウスはRimklb1アミノ酸欠損型マウス、A29欠損、L30V変異マウスであった。本マウスは雄性不妊の表現型を示しており、精巣の萎縮、精子数、精子運動能が大きく低下していた。また、wildマウスと交配させると、プラグは確認できたものの産仔は全く得られなかった。精細管に空胞が多く見られ、血液-精巣関門形成に関わるp-S6タンパク質が増加していることが分かった。 現在Rimklbが精子形成にどのように働いているかについて検討を行っている。1.性ホルモン産生に関わる酵素、また性ホルモン量については、血中テストステロン、精巣テストステロン量には差がなく、性ホルモン産生には影響しない可能性が高い。2.精子形成においては、DNAを巻き付けているヒストンがプロタミンに置き換わる過程が必須で、その過程においてトランジションタンパクTP2というタンパク質が一過性で発現している。しかし、Rimklb遺伝子変異マウスにおいては精巣でこのTP2が残存していた。このことは、精子形成においてRimklbがTP2を制御している可能性を示すものである。3.Rimklbはβ-CGというクエン酸とグルタミン酸が結合した分子を産生する酵素であるが、精巣内におけるβ-CGをLC-MSによって定量する系を検討しており、現在までにβ-CG標準試料をLC-MSによって測定できている。 これらの結果はRimklbが精子形成においてDNAを巻き付けているヒストンからプロタミンに置き換わる過程に関与していることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、Rimklbが精子形成に関与している可能性が高いと考えていた性ホルモン産生について、wildマウスとRimklb遺伝子変異マウスの間で差がみられなかった。また、RNA seq.による網羅的RNA発現解析を行ったが、これについてもRimklbと精子形成の間で関連性のあるものは見いだせなかった。これらによって、実験の進捗は遅れている。しかし、研究の方向を精子形成におけるヒストン、TP2などのタンパク質群、またRimklbによって産生されるβ-CGを定量する実験系を確立しようとしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究を1.精子形成におけるDNAを巻き付けるタンパク質、ヒストンがプロタミンに置き換わる際に重要なTP1,TP2などのタンパク質群の研究。2.Rimklbによって産生されるβ-CGをLC-MSによって定量する実験系の確立。3.Rimklb AAVベクター投与によるRimklb遺伝子変異マウス雄性不妊レスキュー。4.ヒト男性不妊患者のRimklb遺伝子の解析。 以上の研究を行い、Rimklbの精子形成における役割、男性不妊との関連性、また遺伝子治療の可能性について推進していく。
|
Causes of Carryover |
実施予定であったヒト男性不妊患者のRimklb遺伝子解析研究が大幅に実施が遅れたため、Exome解析を行うための研究費用について次年度使用額が生じた。
|