2020 Fiscal Year Research-status Report
染色体高次構造調節因子 CTCF の子宮体癌における下流因子の探索
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20K09634
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
後藤 理 公益財団法人がん研究会, がん研究所 がんゲノム研究部, 研究員 (00634891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 玲緒 公益財団法人がん研究会, がん研究所 がんエピゲノムプロジェクト, プロジェクトリーダー (60607985)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピゲノム解析 / ゲノム解析 / 婦人科腫瘍学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、染色体高次構造調節因子 CTCF の変異により、類内膜性子宮体癌のがん化が引き起こされる機序を明らかにすることである。 CTCF はインスレーターなど、ゲノムDNA上の遺伝子発現調節領域に結合するタンパク質であり、ループ構造などの転写ドメインを形成し、多数の遺伝子の発現調節に重要な役割を果たしている。CTCF の変異は子宮体癌を含む数種のがん種で報告されており、ハプロ不全性を示す腫瘍抑制遺伝子であることが知られているが、そのがん化における役割は不明である。類内膜性子宮体癌ではエストロゲンシグナルがその増殖に重要な役割を果たしていることが知られているが、申請者らはCTCF に変異を有する子宮体癌では、エストロゲン下流遺伝子の発現が低下していることを見出した。本研究ではCTCFの下流因子を、特にエストロゲンシグナルに注目して探索し、CTCF 変異による類内膜性子宮体癌の増殖機序を明らかにする。本研究により子宮体癌の新たなホルモン療法の開発や、染色体高次構造を標的とした治療薬への展開が期待される。 本研究は以下のように進める。1) 我々のコホートにおいて、CTCF 変異によるクロマチン構造とエストロゲンシグナルの変化を、遺伝子レベルならびに転写ドメインレベ ルで探索する。2) 米国のがんゲノムデータベースTCGAより、子宮体癌・癌肉腫のデータをダウンロードして、1) の結果を実証する。1) 2) については、3) 細胞株を用いた実験的実証と、 4) 前向きに収集する臨床検体によるChIP-seqなどの生体内での実証を行う。 2020年度は、DNAメチローム・トランスクリプトームにおいてCTCF 変異型子宮体癌で変化している領域および遺伝子のアノテーションを行った。また、DNA メチロームにおける生物学的解釈のための新しい方法論の開発も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は以下の点で進捗があった。 (1) ENCODE や ReMap altas等のデータベースより、CTCF を含む種々の転写調節因子の結合情報(5000を超えるデータが入手可能である)、 TAD、DNase I 高感受性部位、エンハンサー、プロモーター等の位置情報等のデータを用いて、DNAメチローム・トランスクリプトームにおいてCTCF 変異型子宮体癌で変化している領域および遺伝子のアノテーションを行った。これらの情報を元に、エストロゲンシグナル活性および各種臨床情報と比較しながら特徴の抽出を行った。(2) トランスクリプトームでは、遺伝子セット解析が標準的な方法として用いられているが、DNAメチロームでは、遺伝子レベルのサマリを作るのが難しいという問題があった。そこで、DNA メチロームにおける生物学的解釈のための新しい方法論の開発を行い、そのための解析ツール Methyl-ssRSEA を開発した。成果は論文にして投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
他研究で使用した、類内膜性子宮体癌 69症例およびその類縁疾患である子宮・卵巣癌肉腫109症例の、エクソーム/トランスクリプトーム/メチロームデータのオミックスデータを利活用し、CTCF 変異型および野生型の腫瘍検体で統計比較を行うことで、CTCF の下流因子について、特にエストロゲンシグナルとDNAメチロームの変化に注目しながら探索する。クロマチン構造については、ENCODE (Encyclopedia of DNA Elements) やReMap atlas 等のデータベースから入手可能な、TADや転写調節因子結合部位、エンハンサー、スーパーエンハンサー、 プロモーターのデータを取得し、それらを臨床検体の発現/メチル化データに重ね合わせることで推定する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:今年度の学会参加が web形式となったため。 使用計画:本研究計画を遂行するのに必要なシーケンス解析などの物品費として使用する。
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Research Products
(2 results)