2022 Fiscal Year Annual Research Report
リンチ症候群疑い子宮内膜がん症例に対するスクリーニング手法の検討
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20K09636
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
石川 光也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (00306820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 裕 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (70750751)
白石 航也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 部門長 (80609719)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リンチ症候群 / 子宮体癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮体がんは比較的予後良好ながん種であるが、一部の症例で遺伝性腫瘍(リンチ症候群)が含まれている。リンチ症候群は、発症する個々のがんに臨床的に識別できるような明確な特徴が少ないため、リンチ症候群を正しく診断し適切な医学的管理を行うことが重要である。最終年度は、MLH1、MSH2、 MSH6、PMS2全ての遺伝子に対してIHCを実施し、がん組織においてこれらのたんぱく質が失活しているかを確認するとともに、まだ未実施の体細胞変異解析を実施し、生殖細胞系列の病的バリアントと統合して解析することで、予後良好もしくは予後不良群の同定を試みた。2011年~2018年に国立がん研究センター中央病院で病理学的に子宮体がんと診断された433症例に対して、リンチ症候群の発症に関わるMSH2, MSH6, MLH1, PMS2の全エクソンを対象に生殖細胞系列変異を調べたところ、3.7%に病的バリアントを認めた。病的バリアントを持つ症例と持たない症例での臨床病理学的な違いについて検討するため、433例に対して腫瘍組織におけるMMR タンパク質(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)の発現を免疫染色(IHC)で評価したところ、337例が評価可能であった。その内26.7%がMMR deficient(dMMR)もしくはMMR proficient(pMMR)であるかを明らかにした。しかし、生殖細胞系列変異で病的バリアントとして認められた症例が、必ずしもdMMRを示すわけではなかった。さらにdMMRに着目して、遺伝性腫瘍(リンチ症候群)と非リンチ症候群に分けて体細胞変異解析を実施したところ、リンチ症候群では予後が良好であった。一方非リンチ症候群において、がん組織中のTP53遺伝子が失活している症例は、失活していない症例に比べて予後不良であった。これらは、新たな予後予測マーカーになりうる。
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Research Products
(15 results)