2021 Fiscal Year Research-status Report
治療抵抗性絨毛癌に対する全ゲノム解析に基づいた複合的がん免疫治療の確立
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20K09639
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新美 薫 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (20571334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 友介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00725533)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 絨毛癌 / 次世代シーケンサー / PDXモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代シーケンサーを用いた絨毛癌組織の全ゲノム解析を症例を追加して施行した。この結果から、遺伝子変異の同定を試みた。妊娠性絨毛癌肺転移検体を用いて抗腫瘍免疫応答の解析を行った。また、患者から樹立したxenograftモデルから、細胞株の樹立を試みた。 ①本人、パートナー、腫瘍の3検体を得ることができた絨毛癌3例と、絨毛癌細胞株6種類(JAR, BeWo, JEG3, CC1, CC3, CC4, CC6)に対して、DNAを抽出した。腫瘍検体は、パラフィン包埋ブロックからレーザーマイクロダイセクションを用いてDNAを抽出し、本人とパートナーからは頬粘膜からDNAを抽出した。それらを次世代シーケンサー(イルミナ社のHiSeq 2500)を用いて、全ゲノム解析を行い、遺伝子変異の同定を試みた。同様の症例と細胞株を用いて、コピー数の解析も行っている。 ②妊娠性絨毛癌の肺切除1例の組織から、抗腫瘍免疫応答の解析を行った。腫瘍先進部/傍腫瘍領域の各部位の組織から組織破砕法により組織浸潤免疫細胞を回収し、フローサイトメトリを使用して浸潤免疫細胞のサブセット解析を行った。妊娠性絨毛癌でも、非妊娠性絨毛癌と同様に通常のがん組織よりもNK細胞が多いことが示唆された。 ③非妊娠性絨毛癌患者の手術検体からPatient-derived xenograft(PDXモデル)を作成した。その腫瘍組織をヌードマウスに移植し、生着後、シスプラチンにて治療を行い、感受性を確認した。さらに、不死化細胞株の樹立を行い、hCG分泌を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠性絨毛癌の肺摘出症例から組織を得ることができたため、その抗腫瘍免疫応答を解析することができた。非妊娠性絨毛癌のPDXモデルを作成し、それを用いた化学療法感受性の評価も行うことができたため、概ね順調に進展している。また、絨毛癌細胞株を用いて次世代シーケンサーにて全エクソーム解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
絨毛癌細胞株の全エクソーム解析と、妊娠性絨毛癌のDNA抽出および全エクソーム解析を進め、共通の遺伝子変異やコピー数変化を確認する予定。絨毛癌のパラフィンブロックを用いた免疫染色から、NK細胞等の腫瘍免疫応答に関わる因子を調べる。
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Causes of Carryover |
次年度に次世代シーケンサーを使用した解析を多く検討している。DNA回収に必要なレーザーマイクロダイセクションや、シークエンス用のDNA調整などに関連する試薬の購入を予定している。
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