2022 Fiscal Year Research-status Report
miR-622内包人工エクソソームによる卵巣癌の浸潤・転移と微小環境制御
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20K09643
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺井 義人 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (90278531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 良輔 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (20866363)
谷野 裕一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50285392)
長又 哲史 神戸大学, 医学研究科, 助教 (50816642)
南 康博 神戸大学, 医学研究科, 教授 (70229772)
遠藤 光晴 神戸大学, 医学研究科, 講師 (90436444)
鈴木 嘉穂 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (90726126) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 微小環境 / 浸潤・転移 / TAM |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌は早期から腹膜浸潤・転移を引き起こす予後の悪い癌である。癌が分泌するエクソソームに含まれるmicroRNA(miRNA)が癌の進展を制御するとされ、我々は、まず、癌細胞から分泌され血中を循環する細胞外顆粒エクソソーム内に含まれている癌特異的miRNAを検出することを目的とし、卵巣癌患者2例および良性卵巣腫瘍2例の患者腟洗浄液を用い、miRNAをマイクロアレイで発現の強弱を検討し、癌特異的miRNAとして、良性腫瘍に比べて悪性腫瘍で有意に上昇しているmiR-1290およびmiR-572と有意に減弱しているmiR-575を候補miRNAとした。 また、卵巣癌細胞だけでなくTAMなど微小環境であるニッチの関与について調べるとために、我々は、まず健常人の末梢血由来マクロファージにM-CSF、GM-CSFおよびIL-10 10ng/mlを添加してTAM(M2-THP-1)を作成した。卵巣癌細胞株SKOV3およびKURAMOCHIとM2-THP-1の間接共培養系を確立し、間接共培養を行ったマクロファージではTAM関連マーカーであるCD163、CD204の上昇を認め、さらに間接共培養を行った卵巣癌細胞株では移動、増殖能の上昇を認めM2-THP-1はTAMの特性をもつことを確認した。さらに、卵巣癌細胞株ではE-cadherinの低下も認めており、EMTへの関与の可能性があり、これらの結果からマクロファージと癌細胞の相互作用が卵巣癌の進展に関わることが判明しました。 また、卵巣癌細胞株においてシスプラチンはミトコンドリア膜電位を上昇させ、フェロトーシスを誘導することを見出し、シスプラチン耐性卵巣癌細胞株では、発現上昇しているFdx1がミトコンドリア膜電位を低下させ、フェロトーシスを阻害することでシスプラチン耐性性を持つことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
癌特異的miRNA候補を見出すことはできたが、これらのmiRNAとニッチであるTAMとの関係性、シスプラチン耐性性への影響については、現在研究中であり、その成果はまだ報告できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、マイクロアレイで見出した癌特異的miRNA候補であるmiR-1290、miR-572およびmiR-575について、これらのmiRNAが、癌特異的miRNAであり、癌の浸潤・転移、増殖に関わるものかを検討中である。さらに、我々が作成したTAMの特性をもつM2-THP-1を用いて、卵巣癌の浸潤・転移と微小環境制御の関係性を明らかにするとともに、シスプラチン耐性性への影響をFdx1によるフェロトーシスをターゲットに制御可能かを進めていく。
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Causes of Carryover |
癌特異的miRNA候補を見出すことはできたが、これらのmiRNAとニッチであるTAMとの関係性、シスプラチン耐性性への影響については、現在研究中であり、そのために研究費として使用予定。
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