2020 Fiscal Year Research-status Report
転写因子WT1による子宮内膜間質細胞の脱落膜化と脂質代謝制御機構の解明
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20K09645
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹谷 俊明 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (70464328)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子宮内膜間質細胞 / WT1 / 脂質蓄積 |
Outline of Annual Research Achievements |
Wilms Tumor 1(WT1) は泌尿生殖器系臓器の発生を制御する転写因子であると同時に、子宮内膜間質細胞の脱落膜を制御する。我々は、マイクロアレイを用いたゲノムワイド発現解析を行ったところ、WT1は脱落膜化過程において、脂質代謝に関わる遺伝子を多く制御していることが分かった。本年度は、脱落膜化過程における子宮内膜間質細胞内の脂質蓄積量の変化と転写因子WT1 の関与を調べた。患者の同意を得た上で、増殖期後期の子宮内膜から間質細胞を分離・培養し脱落膜化を誘導した。脱落膜化の誘導は、子宮内膜間質細胞を cAMP (0.5 mM) で 4 日間培養することで行った。脱落膜化により子宮内膜間質細胞内の脂質蓄積が上昇するかを脂肪滴の蛍光染色色素である BODIPY を用いた蛍光免疫染色と細胞内トリグリセリド量の定量化にて調べたところ、脱落膜化により脂質蓄積が上昇することがわかった。次にWT1の脂質蓄積への関与を調べるために、WT1をsiRNAを用いてノックダウンしたところ脂質蓄積が抑制された。細胞内の脂質蓄積量の増加は、細胞内への脂質取り込み増加だけでなく、脂質合成能の増加や、脂質分解能の低下によっても起こる。脱落膜化によりこれらが変化しないかを検討したが、これらは脱落膜化により変化しなかった。以上より脱落膜化により脂質取り込みが上昇し細胞内脂質蓄積が上昇すること、またWT1がこれらの現象に関与していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
脱落膜化によって細胞内脂質蓄積が増加すること、WT1がそれに関与していることを証明できた。さらに、WT1の下流で脂質代謝を制御する遺伝子の候補遺伝子をいくつか同定できている。よって、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
過去に行ったマイクロアレイの結果により、WT1は脂質蓄積に関与するさまざまな遺伝子の発現を制御している。WT1の下流で脂質代謝を制御する遺伝子を同定し、WT1による詳細な制御機構を解明する。また、脱落膜化過程では脂質のみならず多くの代謝が変化することが知られている。WT1が他の代謝経路にも関与している可能性も踏まえて検討していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度の実験内容に変更はなかったが、当初予定していた実験試薬の変更があったこと、またコロナ禍に伴う学会発表のweb開催化のため旅費がかかっていないことなどにより、1,598,439円未使用額が生じた。この未使用額については2021度の実験試薬の購入に充てる。
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[Presentation] C/EBPb a transcription factor, genome-widely regulates gene expression through H3K27ac modifications during decidualization of human endometrial stromal cells (ESCs)2020
Author(s)
Isao Tamura, Ryo Maekawa, Haruka Takagi, Natsuko Shimizu, Yumiko Tanaka-Doi, Yuichiro Shirafuta, Yumiko Mihara, Toshiaki Taketani, Hiroshi Tamura, Norihiro Sugino
Organizer
第72回日本産科婦人科学会学術講演会
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