2021 Fiscal Year Research-status Report
転写因子WT1による子宮内膜間質細胞の脱落膜化と脂質代謝制御機構の解明
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20K09645
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹谷 俊明 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (70464328)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子宮内膜間質細胞 / WT1 / 脂質蓄積 / VLDLR / 糖取り込み |
Outline of Annual Research Achievements |
Wilms Tumor 1(WT1) は泌尿生殖器系臓器の発生を制御する転写因子であると同時に、子宮内膜間質細胞の脱落膜を制御する。マイクロアレイを用いたゲノムワイド発現解析を行ったところ、WT1は脱落膜化過程において、脂質代謝に関わる遺伝子を多く制御していることが分かった。我々は昨年度までに、脱落膜化により細胞内の脂質蓄積が増加すること、この脂質蓄積にWT1が関与していることを証明していた。本年度は、WT1の下流で脂質蓄積に関与する因子としてVery Low Density Lipoprotein Receptor (VLDLR)を同定した。さらに、WT1は脂質だけでなく細胞内へのグルコース取り込みに関与していることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、脱落膜化によって細胞内脂質蓄積が増加すること、WT1がそれに関与していることを証明できた。さらに、WT1の下流でVLDLRが活性化され脂質取り込みが上昇していることがわかった。また、我々はこれまで脱落膜化過程において脂質のみならず細胞内グルコース取り込みも上昇することを報告している。そこで、WT1とグルコース取り込みの関連について調べた。子宮内膜間質細胞において WT1をノックダウンさせた後、脱落膜化刺激を加え、細胞内グルコース濃度を調べた。WT1 をノックダウンすることで、脱落膜化で上昇する細胞内グルコース濃度は減少した。さらに、WT1の下流ではグルコーストランスポーターであるGLUT1が活性化されグルコース取り込みに関与していることを明らかにした。以上のように、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
WT1は脂質取り込みに関してはVLDLRを上昇させることで、糖取り込みについてはGLUT1を上昇させることで脱落膜化に貢献していることがわかった。今後は、WT1によるVLDLRやGLUT1の詳細な転写調節機構を明らかにするとともに、脱落膜化で上昇する細胞内脂質やグルコースが、着床現象においてどのような役割を果たしているかを解明していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度の実験内容に変更はなかったが、当初予定していた実験試薬の変更があったこと、またコロナ禍に伴う学会発表のweb開催化のため旅費がかかっていない ことなどにより、1,972,435円の未使用額が生じた。この未使用額については2022度の実験試薬の購入に充てる。
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