2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a qualitative imaging method to non-invasively predict the severity of adenomyosis
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20K09647
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40178330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉元 千陽 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00526725)
山田 有紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20588537)
松原 翔 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20825236)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子宮腺筋症 / 鉄 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮腺筋症は月経困難症や異常子宮出血を合併し女性のQOLを悪化させる代表的疾患である。我々は子宮内膜症の研究から、血管外に流出した赤血球はオキシヘモグロビンからメトヘモグロビンに変換され、3価の鉄(Fe3+)が活性酸素を介し酸化ストレス、炎症を惹起し、M2マクロファージの集積による組織修復、線維化を助長し疾患重症度に関連することを報告した。また非侵襲的に鉄濃度を測定する手法としてMRスペクトロスコピーと近赤外光を用いた経腟光学プローブを開発した。今回、腺筋症の重症度として線維化を早期に予測するため、質的画像診断と組織内鉄濃度、免疫組織学的パラメータ(酸化ストレス、抗酸化能、M1, M2マクロファージ数・比率、線維化マーカー)との関連を評価し、腺筋症の重症度を早期に、非侵襲的に予測する新たな質的画像評価の有用性を検討する。 今年度は以下の2点を研究した。まず、術前にMRスぺクトロスコピーおよび経腟光学プローブによる筋層内鉄濃度測定を行った。両装置の鉄濃度の換算係数はすでに検討済であり、腺筋症と診断し手術を行う患者を登録し同意を得たのちに、術前に組織内鉄濃度を計測する。嚢胞内総鉄濃度の平均252.4 mg/L(MRスぺクトロスコピーR2値は40.5 s-1)に比較して、腺筋症筋層内の総鉄濃度の平均は81.1 mg/L(MRスぺクトロスコピーR2値は16.9 s-1)であった。正常筋層の13.9 mg/L(MRスぺクトロスコピーR2値は2.6 s-1)に比べて有意に高値を示した。現在、ヘム鉄、自由鉄濃度を測定しているところである。 現在の結論は、腺筋症の筋層には多くの鉄が含まれていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
総鉄濃度の測定が終了し、ヘム鉄、自由鉄濃度を測定しているところであり、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
摘出切片の免疫染色により酸化ストレス、抗酸化、炎症、組織修復、線維化の程度を評価する。酸化ストレスマーカー(8-OHdG)、抗酸化マーカー(CD44v9、HO-1)、炎症としてのM1,M2マクロファージ数やその比率、線維化マーカー(1型コラーゲン、TGF-βとその下流シグナル)を免疫組織染色で評価するための準備をしている。 次に、疾患重症度(月経困難症、過多月経、貧血、不妊症、産科合併症の既往等)との関連を評価【2022年】するため、質的画像診断、各免疫染色マーカーと疾患重症度(月経困難症、異常子宮出血、不妊症、周産期合併症、治療効果や副作用など)を多変量解析し、重症度に最も寄与する因子を抽出するための症例蓄積を継続している。その後、質的画像診断による鉄濃度がどの程度疾患重症度を予知できるか後方視的に評価する予定である。
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Causes of Carryover |
鉄濃度測定は共同研究企業が負担したため、予想より経費が掛からなかった。その分は、次年度の免疫組織染色などの研究に回す予定である。
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Research Products
(8 results)