2021 Fiscal Year Research-status Report
医療技能のデジタル化で実現する卵巣腫瘍の革新的診断システムの開発
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20K09667
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池田 芳紀 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30820378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 憲裕 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10396765)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療技能のデジタル化 / 人工知能 / 卵巣腫瘍 / 早期発見 / 死亡率低下 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療技能のデジタル化により、卵巣腫瘍の革新的診断システムを開発することである。卵巣腫瘍の術前診断は、既往歴、家族歴、腫瘍マーカー、超音波検査、MRI、CTなどから得られる情報を参考に、医師が良・悪性を推定している。エキスパートの画像診断医は、卵巣腫瘍の病理組織型の推定を画像読影時に行っている。人工知能技術を用いてこの医師の技能をデジタル化し機能としてシステムに実装し、学習を積むことで、人間を超える高い診断精度を実現する。卵巣悪性腫瘍の早期発見手法として研究を発展・確立し、最終的には卵巣悪性腫瘍の死亡率減少を目指す。本研究は下記の4つのステップで卵巣腫瘍の診断システムの開発を行う。本研究期間においては1~2のステップを繰り返してシステムの性能を高め、その有効性を検証する予定である。当該年度は1の段階で最初の目標である約200症例分の患者臨床情報、血液・画像検査データの抽出を終え、研究分担者のグループへのデータ集積作業の途中段階である。 1.名古屋大学産婦人科で治療した卵巣腫瘍症例の診療情報、検査データの抽出・解析;名古屋大学産婦人科で治療した卵巣腫瘍症例の患者臨床情報、血液・画像検査データ、摘出物の最終病理組織型の情報を抽出する。研究分担者のグループに集積して解析し、システムの枠組みを構築する。 2.システムの性能の評価;上記で使用していない卵巣腫瘍症例のデータをシステムに入力し、出力された良性・境界悪性・悪性の診断と病理組織型の正診率を評価する。 3.症例数を拡大し診断精度の向上を図る;名古屋大学産婦人科と複数の関連病院で組織する東海卵巣腫瘍研究会の登録症例へとデータの集積を拡大する。 4.卵巣悪性腫瘍の早期発見に向けてシステムの発展・確立;一般的な検診で収集可能な臨床情報・血液検査データと経腟超音波データのみで診断を可能にし、早期発見手法として実用化を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
進捗状況としては大幅に遅れている。COVID-19の流行により昨年度のスタート時点からすでに研究活動に制限がかかっていたことが最大の原因である。昨年度で、名古屋大学産婦人科で治療した卵巣腫瘍症例の患者臨床情報、血液・画像検査データ、摘出物の最終病理組織型の情報を抽出し、研究分担者のグループに集積して解析し、システムの枠組みを構築する予定であった。まず初めに必要な作業としては、多数例の臨床情報、検査データ、画像データを匿名化して収集することである。データ収集のためには研究補助員が電子カルテシステムを参照する必要があり、施設に出勤しての作業がどうしても必要なため、テレワーク下では作業困難であった。データ収集作業が予定通りスタートできず計画より大幅に遅れを生じた。昨年度と当該年度で、最初の目標であった約200症例分の患者臨床情報、血液・画像検査データ、摘出物の最終病理組織型の情報の抽出を終えてはいるが、研究分担者のグループへのデータ集積作業の途中段階であり、まだ十分なデータ解析が行えていない。研究分担者のグループでのデータ解析・システムの枠組みの構築は次年度に繰り越し引き続き行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に遅れが生じており、最初の目標であった約200症例分の患者臨床情報、血液・画像検査データ、摘出物の最終病理組織型の情報の抽出を終えてはいるが、研究分担者のグループへのデータ集積作業の途中段階であり、まだ十分なデータ解析が行えていない。今後は研究分担者のグループでのデータ解析およびシステムの枠組みの構築を行う。次年度は研究分担者のグループで本研究のデータ解析に携わる大学院生を確保しており、データ解析作業を推進する。本研究期間全体の計画を考慮しつつ今後の研究の進捗をみながら、さらに研究分担者のグループで本研究に携わる大学院生の増員も視野に入れ、研究分担者と相談・検討しながら本研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行により昨年度のスタート時点から研究活動に制限がかかっていたため、研究補助員によるデータ収集作業が予定通りスタートできず計画より大幅に遅れを生じた。本研究期間の最初から研究補助員を雇用してデータ収集作業がスタートできなかったため、その分の人件費を計画通りには使用できていない。また、昨年度、当該年度には出張会議による旅費の支出が0であったため、そのことも次年度使用額が生じた理由の一つである。COVID-19の流行状況を考慮しつつ、オンライン会議だけでなく開発したシステムの実機を用いて性能評価のための会議を次年度は行いたい。研究計画に大幅な遅れが生じており、延長申請も視野に入れている。
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