2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K09680
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
寺崎 美佳 日本医科大学, 医学部, 助教 (50372785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠田 悦子 日本医科大学, 医学部, 助教 (00589327)
寺崎 泰弘 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50332870)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子宮平滑筋肉腫 / 破骨細胞様巨細胞 / 骨芽細胞化 / RUNX2 / RANKL |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮平滑筋肉腫は多彩な組織像を示すが、形態の違いに基づく治療選択は行われておらず、治療に直結する有効な治療法の開発が急務となっている。私たちは、破骨細胞型巨細胞を伴う子宮平滑筋肉腫では、骨の破骨細胞形成に必須のサイトカイン(RANKL)を産生していることを発見し、組織形態の違いが腫瘍の発生起源に関わる可能性を解明し、治療ターゲットとなり得る因子を同定することを目的に研究を行った。RANKLの上流因子に関しては、過去に報告されているRANKL誘導作用があるサイトカイン群の関わりは薄い結果であった。しかし腫瘍組織において、RANKL以外に、オステオポンチンの高発現を有意に認めたことから、発想を転換し、骨芽細胞分化について検討を進めたところ、腫瘍細胞に骨芽細胞化を誘導する転写因子RUNX2の高発現を認めた。 RUNX2は近年前立腺癌や腎癌、肺癌において予後不良因子としての報告がみられる。RUNX2とRANKLの発現局在の検討から、腫瘍細胞の多くはRUNX2を発現し、その一部がRANKLを発現していることが明らかとなった。また腫瘍内マクロファージおよび破骨型巨細胞では、RANKL受容体や破骨細胞分化に必須の転写因子の発現がみられ、骨吸収に関与するコラーゲン分解酵素であるCathepsin Kの強発現がみられた。このことから、破骨細胞様巨細胞を伴う子宮平滑筋肉腫では、腫瘍細胞の骨芽細胞化により、RANKL-RANKシグナルにより腫瘍内のマクロファージが骨組織と同様の機序で破骨細胞化することで、特徴的な組織像を示している可能性が示唆された。また組織球の破骨細胞化は、周囲間質のIV型コラーゲン分解を促進し、出血を引き起こす事で、易転移性を示す可能性が考えられた。上記結果と考察を論文にまとめ、英文紙に投稿し、採択された(Virchows Archiv, 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究当初、破骨細胞型巨細胞を伴う子宮平滑筋肉腫は、RANKL産生腫瘍であり、RANKLが腫瘍増殖に関わっているという仮定で進めていたが、解析結果より、腫瘍のRUNX2発現による骨芽細胞分化によりRANKLが高発現し、そのことが腫瘍内マクロファージの破骨細胞化を促していることを明らかにした。また腫瘍内マクロファージの破骨細胞化は、骨基質吸収に関わるプロテアーゼであるCathepsin Kの発現増加を促し、周囲のIV型コラーゲンを溶解し、その特徴的な腫瘍内出血を引き起こす可能性が示唆された。新型コロナウィルス流行のため、様々な行程が遅れることとなったが、上記の研究成果は英文紙に採択された。現在平滑筋細胞へのRUNX2誘導がうまくいってないため、試行錯誤を繰り返している。近年、他癌でも予後不良の症例でRUNX2の発現が報告されていることから、その他の癌培養細胞を用いてもRUNX2の誘導を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、治療応用を考え、今までの研究成果を元に、in vitroからモデルマウス作成を目標とする。腫瘍の脱分化からの骨芽細胞化および腫瘍増殖機構について詳細検討を行うため、骨芽細胞分化を誘導した培養細胞の樹立を行う。現在、近年、いくつかの癌でRUNX2が予後不良因子の可能性が報告されており、臓器横断的現象である可能性も考え、骨芽細胞化の抑制が治療につながる可能性を検討する必要があると考え, in vitroでのRUNX2発現誘導を試みる。その他の癌細胞をもちいて、上皮間葉転換などの手法からもRUNX2発現誘導を試みる。in vitroでのRUNX2発現誘導と、腫瘍増殖抑制の実験を行い、マクロファージとの共培養も含め、腫瘍抑制について検討を行う。また同誘導培養細胞をヌードマウスに移植し、動物モデルでの検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス流行のため、学会発表等をひかえる傾向にあり、また実験に必要な消耗品が遅延するなど、様々な行程が遅れることとなり、次年度使用額が生じた。次年度は、現平滑筋細胞へのRUNX2誘導およびその他の癌培養細胞を用いてもRUNX2の誘導を主軸とし、腫瘍増殖抑制因子および腫瘍随伴マクロファージの役割について共培養などをもちいて、詳細検討を行っていく計画である。
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[Journal Article] Uterine leiomyosarcomas with osteoclast-like giant cells associated with high expression of RUNX2 and RANKL2021
Author(s)
Mika Terasaki, Yasuhiro Terasaki, Kyoko Wakamatsu, Naomi Kuwahara, Koichi Yoneyama, Rieko Kawase, Keisuke Kurose, Etsuko Toda, Yoko Endo, Shinobu Kunugi, Yusuke Kajimoto, Akira Shimizu
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Journal Title
Virchows Arch
Volume: 478
Pages: 893-904
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 破骨細胞様巨細胞を伴う子宮平滑筋肉腫におけるRUNX2, RANKL高発現と破骨細胞分化2021
Author(s)
寺崎美佳, 寺崎泰弘, 桑原尚美, 若松恭子, 柳雅人, 遠田 悦子, 梶本雄介, 遠藤陽子, 功刀しのぶ, 清水章
Organizer
第110回日本病理学会総会