2023 Fiscal Year Research-status Report
内耳メカノトランスダクション欠損マウスを用いたシスプラチン難聴の発症機序の解明
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20K09685
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川島 慶之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (10376759)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シスプラチン / 内耳有毛細胞 / 感音難聴 / TMC1 / メカノエレクトリカルトランスダクションチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度に実施したEx vivoの実験で得られた結果をもとに、本年度は、以下の、主にIn vivoの実験を進めた。 シスプラチンによる内耳有毛細胞の損傷に対するシメチジンの保護効果を検証するために、P18の野生型雌マウスに生理食塩水または300 mg/kgのシメチジンを腹腔内注射し、その後8 mg/kgのシスプラチンを腹腔内注射した。72時間後、マウスを安楽死させ、内耳感覚上皮の有毛細胞の障害を調べた。8 mg/kgのシスプラチンの腹腔内注射は中回転および基底回転の外有毛細胞のわずかながらも有意な変性を引き起こしたが、内有毛細胞には影響を与えなかった。シメチジンはシスプラチン毒性に対して有毛細胞を保護する効果を示さず、体重減少も観察されなかった。 Tmc1およびTmc2欠損(Tmc1Δ;Tmc2Δ)マウスのsensory METチャンネルがシスプラチンによる有毛細胞損傷において果たす役割を調べた。P18の野生型およびTmc1Δ;Tmc2Δ雌マウスに生理食塩水または20 mg/kgのシスプラチンを腹腔内注射し、72時間後に安楽死させた。野生型マウスでは、シスプラチンの腹腔内注射により蝸牛のすべての部位で外有毛細胞が有意に変性したが、Tmc1Δ;Tmc2Δマウスでは外有毛細胞に顕著な変性は見られなかった。内有毛細胞については、野生型およびTmc1Δ;Tmc2Δマウスのいずれにおいても顕著な変性は見られなかった。この結果から、感覚METチャンネルがシスプラチンの外有毛細胞への毒性に必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度と2022年度に、新型コロナウイル ス感染症流行のため、一時的に実験動物の数を減らすことや、完全にストップすることを余儀なくされたために、研究の進行がやや遅れたが、その後は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
一部、統計解析のためにデータ数が足りていない実験においてんを増やすとともに、論文の作製を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響もあり、当初の計画よりも研究がやや遅れているため。論文作成や追加実験などのために使用する予定である。
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