2021 Fiscal Year Research-status Report
線溶系制御による好酸球性副鼻腔炎に対する新規治療法の開発
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20K09686
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高林 哲司 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (70397272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 幸宣 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (00748981)
吉田 加奈子 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 特命助教 (00773706)
坂下 雅文 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (40555455)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性副鼻腔炎 / 好酸球性副鼻腔炎 / 鼻茸 / 好酸球 / フィブリン / tPA |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性副鼻腔炎の主な治療ターゲットは難治性・易再発性の鼻茸および嗅覚障害である。特に鼻茸の形成メカニズムについては不明な点が多い。我々はこれまで行ってきた研究において鼻粘膜の炎症によって末梢血管から漏出したアルブミンを主体とした血漿タンパクがフィブリン網の形成によってゲル化することか鼻茸形成メカニズムの主体であることを報告している。血管内におけるフィブリン網の形成は止血の一時機構としてよく知られている。また組織におけるフィブリン網の形成は浮腫の形成によって炎症を局所にとどめ、炎症の拡散を防止し速やかな消炎から治癒に導く創傷治癒過程の重要な役割を担っている。またフィブリン網の分解は線溶系が担っておりフィブリン網を直接分解するプラスミンの産生に組織型プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)が最も重要であり、好酸球性副鼻腔炎のtype2炎症によってt-PAの発現量が著しく抑制される。 本研究において細菌叢が鼻内のt-PAに与える影響についての研究を進めており現在までに興味深い知見を得ることができている。またモデルマウスにおいては、アレルギー炎症をマウスの鼻内で誘導するだけでは鼻茸の形成には至らず、現在はinnate type2 炎症を誘導することでの鼻茸形成モデルの作成を試みている。さらに研究を進めるなかで新規の経路が病態に関与することを示唆するデータを得ており今後研究の飛躍的進展が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した研究計画通りに研究が進行している。 ただ質量分析イメージング法による検討に関しては出張の規制などもあり少し遅れているが次年度に行うことができると考えている。 また研究を行った過程でこれまで予想していなかった分子の好酸球性副鼻腔炎の病態への関与を示唆するデータが新たに発見されこの分野についても今後研究を発展させていける可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
計画はほぼ計画通りに進行しており論文化もできる。 新たに得られた研究結果を含めてさらなる研究の発展が期待できる。
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Causes of Carryover |
出張の規制等により進捗が遅れている質量分析イメージング法を用いた研究に用いる試薬や解析ソフト、サンプル採取関連の容器の購入のために使用する予定である。
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