2022 Fiscal Year Annual Research Report
線溶系制御による好酸球性副鼻腔炎に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
20K09686
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高林 哲司 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (70397272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 幸宣 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (00748981)
吉田 加奈子 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 特命助教 (00773706)
坂下 雅文 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (40555455)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / 鼻茸 / 凝固系 / 線溶系 / M2マクロファージ / 組織型プラスミノーゲンアクチベータ / フィブリン |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性副鼻腔炎は難治性の疾患で指定難病にも登録されている。鼻副鼻腔粘膜の高度の浮腫による高度の鼻閉と嗅覚障害が主な症状であるが気管性喘息や好酸球性中耳炎の合併も多い。鼻副鼻腔粘膜の浮腫の遷延によって形成される鼻茸は鼻腔に特徴的な病変で同じ気道の2型炎症性疾患である気管支喘息やアトピー性皮膚炎患者においてこのような病変の局所での形成は認められない。好酸球性副鼻腔炎おいて鼻茸の形成メカニズムを解明することは非常に重要であるが我々はこれまでの研究で浮腫の遷延化には鼻副鼻腔粘膜におけるフィブリン網の過剰な形成が関与していることを彰らかにしてきた。 鼻副鼻腔粘膜におけるフィブリン網の過剰形成には凝固系と線溶系の不均衡が深く関与している。今回の研究では凝固系亢進に関して鼻副鼻腔粘膜に浸潤したM2マクロファージの関与を明らかにした。またレニンアンジオテンシン系のバランスの不均衡が鼻副鼻腔粘膜における凝固系異常に関与することも明らかにした。線溶系の異常に関しては副鼻腔由来の一酸化窒素(nasal NO)の関与について研究を進めた。Nasal NOは好酸球性副鼻腔炎で有意に低下しており病態を反映するバイオマーカーになり得ること、またはバイオ製剤使用において継続、減量の判断に際して内視鏡所見よりより有用な情報となり得ることも明らかにした。さらに培養細胞を用いた検討ではNOが気道上皮細胞において線溶系を亢進させる働きがあることを発見した。線溶系において最も重要な組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の発現が好酸球性副鼻腔炎では低下しておりt-PAの発現誘導は好酸球性副鼻腔炎の治療に極めて有用である。今回短鎖脂肪酸の幾つかで強いt-PAの誘導と鼻腔に存在する細菌にもt-PAを誘導する作用があることが分かった。 本結果は凝固線溶系の不均衡を解除し新規治療法の開発に有用であると考えられた。
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Research Products
(7 results)