2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫・ストレス応答からみたメニエール病の聴力予後因子の検討
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20K09688
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
青木 光広 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (30283302)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メニエール病 / 難聴 / 両側化 / MCP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚障害の進行とメニエール病(MD)の両側性の関与は、疾患の期間と加齢に依存する可能性がある。また、MDは炎症性変化により損傷した微小血管循環の機能障害を伴う可能性があることが報告されている。そこで、MDの聴覚障害と両側性障害の進行における炎症性プロセスの病因関連性について研究を行った。対象は30人の片側MD確実例(56.8±14.7歳)、7人の両側MD確実例(65.3±13.9歳)、および17人の年齢を一致させた対照健常被験者(53.5±14.4歳、p> 0.05)とした。血漿血管内皮増殖因子(VEGF)、血漿インターロイキン-6(IL-6)、血漿腫瘍壊死因子α(TNFα)、および血漿単球走化性タンパク質-1(MCP-1)を測定した。両側性MD群および片側性MD群の血漿MCP-1(204.7±41.0 pg/mLおよび169.5±32.0pg/ mL)は対照群(149.2±30.7 pg / mL)よりも高い値を示した(p <0.05)。 3グループ間で血漿TNFα、IL-6、およびVEGFに有意差はなかった(p> 0.05)。 MD患者の血漿MCP-1と年齢の間には強い相関関係があった(r = 0.58、p <0.01)。一方、対照被験者では血漿MCP-1と年齢の間に有意な相関は認めなかった(p> 0.05)。血漿MCP-1は、500、1000、2000、4000Hzの平均聴力レベルと、良聴耳のカロリックテストにおける最大緩徐相速度と有意に相関していた(p <0.05)。また、MD群では、血漿MCP-1は、血漿IL-6(r = 0.49、p <0.01)および血漿TNFα(r = 0.32、p <0.05)と有意な正の相関を示した。本研究結果は、炎症性プロセスに伴う血漿MCP-1の増加が、聴覚障害の進行とMDの両側性障害に関連していることを示唆していると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標症例数には達しつつあるが、両側MD症例の症例数がまだ十分とは言えない点が課題である。コロナ禍で患者数がやや少ない環境ではあるが継続して行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現状特に問題なく研究は遂行しており、ほぼ目標数達している。両側MD例を増加させることが課題ではあるが、関連病院などからも患者紹介をしていただいている。本年中には論文作成に取り掛かる予定であり、今年度中には発表できるようにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
引き続き本研究を遂行していくこと、ならびに学会発表および論文作成に次年度使用するために必要である。
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