2022 Fiscal Year Research-status Report
低周波数域のOAE測定機器(AMEOAE)の開発と低音域感音難聴の病態解明
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20K09698
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡本 康秀 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 客員講師 (10317224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 翔 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (00776049)
神崎 晶 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50286556)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 耳音響放射 / 内耳障害 / 振幅変調 |
Outline of Annual Research Achievements |
基底膜振動の周波数同調特性は低音域で鋭く、周波数が高くなるにつれて緩やかになり、同一周波数では外有毛細胞のアクティブメカニズムにより音圧レベルが低いほど鋭くなることが知られている。また、刺激レベルの上昇に伴うOAEの遅延および基底膜振動の周波数同調性の減少が報告されており、OAEの遅延から同調の鋭さおよび外有毛細胞の健全性を評価できる可能性がある。 今年度,聴力が正常な成人10名を対象とし、測定周波数300Hz以下、刺激レベル45から80 dBSPL(5 dBステップ)におけるAMEOAEおよびその遅延を計測し、刺激レベルに依存する非線形性が観測できるか検証した。 刺激レベルが60 dBSPL以下でOAEの遅延は長く、65 dBSPL以上で短くなる傾向が見られた。50、55 dBSPLにおいては、音響キャビティに対して有意に長いことがわかった。なお、音響キャビティで計測された遅延は刺激レベルよらず十分に小さいことを確認したため、アーチファクトの影響は少ないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究当初に予定していた測定法はノイズが多く臨床応用するには困難さがあることが判明したため、低音の外有毛細胞機能評価の方法を見直し、OAEの遅延から同調の鋭さおよび外有毛細胞を評価する手法に切り替えて測定方法を開発し治したために遅れが見られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回再度開発し直した測定法はノイズに強く臨床応用できるものとなったと考えている。そこで今後は低音域の聴力低下が認められる難聴者のデータを収集・解析し,本手法の有効性ならびに妥当性を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の測定条件の計画では臨床応用が難しいことが判明し、今年度に測定法の改良を行い新たな測定法を開発した。次年度最終課題である難聴者への測定をおこない臨床応用の妥当性を検証する。そのため次年度への繰り越しが生じている。
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