2021 Fiscal Year Research-status Report
ミオシン6のミスセンス変異ヘテロ型で生じる進行性難聴の遺伝子治療
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20K09702
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
関 優太 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 研究員 (10615636)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 難聴 / モデルマウス / ミオシンVI / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミオシンVIは難聴発症原因遺伝子の1つであり、変異アレルホモで先天性難聴および変異アレルヘテロで進行難聴を発症する。ミオシンVI突然変異をもつモデルマウスのヘテロ接合体は、患者同様に進行性難聴を生じ、変異アレル間で発症時期が異なることを明らかとし、ミスセンス変異ヘテロ個体が早発の進行性難聴を引き起こすことも判明した。本年度は、アデノ随伴ウイルスベクターを介した遺伝子治療に向けて、以下の項目を実施した。 ・モデルマウスの検討 ミオシンVIミスセンス変異ヘテロマウスは生後初期の遺伝子治療により、難聴発症が遅延することが報告された。しかしながら、その効果は限定的であり、発現量の補完が必要である可能性が推察された。そこで、本研究ではハプロ不全によって進行性難聴を発症するモデルマウスを追加することにした。 ・アデノ随伴ウイルスベクター導入時期の検討 生後初期のアデノ随伴ウイルスベクター導入により変異アレルの破壊が可能であることが報告され、有用なアデノ随伴ウイルスベクターのセロタイプもいくつか選出している。また、ミオシンVIハプロ不全モデルマウスの聴力レベルの低下時期および有毛細胞の不動毛形態異常の出現時期から、その治療時期を検討した。これらのデータは成熟した有毛細胞を標的としたミオシンVI変異アレル破壊および遺伝子発現の補完を目指す基盤となり、現在は各モデルマウスの遺伝子治療の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス感染症対策による研究活動の制限のため、アデノ随伴ウイルスベクターの構築には至らなかった。また、ハプロ不全モデルマウスの表現型データの集積および報告のため遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに、モデルマウスの表現型データの蓄積ができた。次年度は、変異アレル破壊および発現量補完を目的にアデノ随伴ウイルスベクターを構築し、モデルマウスに遺伝子治療を施し、その効果を検証する。
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Causes of Carryover |
本年度に実施予定とした実験は、新型コロナウイルス感染症による活動制限により実施できなかったため、試薬等の消耗品費に次年度使用額が生じた。未使用額は、アデノ随伴ウイルスベクターの構築、モデルマウスへの導入、遺伝子治療後の表現型および発現解析のための試薬等の費用として次年度使用する。
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