2022 Fiscal Year Research-status Report
Basic research of SIRT1 activator to treat eosinophilic sinusitis
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20K09703
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中丸 裕爾 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20344509)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / サーチュイン / 上皮バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性副鼻腔炎は難治の副鼻腔炎で中高年において発症する。鼻腔粘膜上皮の脆弱化が発症の一因とされているが、詳細は不明である。申請者らは老化の保護 因子であるSIRT1蛋白を研究し、COPDなどの加齢に伴い発症する炎症性疾患においてSIRT1蛋白の減少が、疾患の病態を形成することを明らかにしてきた。鼻腔 粘膜組織において上皮にSIRT1が強発現していることを見出したため本研究の着想にいたった。 本年度までに、1.好酸球性副鼻腔炎炎症局所におけるSIRT1発現、2.SIRT1による鼻粘膜上皮バリア機能の変化を評価した。 まず好酸球性副鼻腔炎炎症局所のSIRT1の発現を免疫組織化学染色で確認した。1. 手術時に摘出した好酸球性副鼻腔炎患者鈎状突起粘膜および鼻茸組織およ び対照として肥厚性鼻炎にて手術した下鼻甲介粘膜より凍結切片を作成。2. 抗SIRT1抗体を用い、切片を染色。ABC法にて発色して観察。3. 好酸球性副鼻腔炎 炎症局所におけるSIRT1の局在を検討した。結果、下鼻甲介粘膜におけるSIRT1の発現は、上皮細胞に多く認められた。特に上皮の基底層に強い発現を認めた。 次に上皮バリア機能を検討するために、鼻腔粘膜上皮の経上皮バリア機能におけるSIRT1の役割を検討した。手術時に摘出した下甲介粘膜より鼻腔上皮細胞を 単離し、Transwell上層に散布し、Air Liquid Interface(ALI)法で培養した。21日培養後、SIRT1の抑制剤(resveratrol)あるいは促進剤(splitomicin)を添加 し経上皮電気抵抗を測定した。抑制剤、促進剤のみのでは、バリア機能は変化なかった。今後、バリア機能を変化させる既知の薬剤とともに抑制剤および促進剤を加えることでバリア機能の変化を見ていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid19パンデミックのため、実験用具(特に、air-liquid interfaceの実験に必要不可欠なtraswell)の入手が困難となったことと、手術が減少したために、 実験が少し遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で、SIRT1の局在が判明した。SIRT1は加齢により減少していくとのことで、基底層で多く、表皮で減少していくことは合理的な結果と考えられる。また鼻腔粘膜上皮におけるバリア機能に対するSIRT1抑制剤、促進剤の働きでは、バリア機能を変化させる薬剤と、促進剤、抑制剤を同時投与することでバリア機能がどのように変化するかを検討する。手術検体での検討のみでは、実験の進捗が遅いので気道上皮細胞株を使用し、条件設定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度Covid-19パンデミックのため、実験用消耗品の入手が困難で実験が遅れがちであった。また予定していた学会参加ができず、学会参加費および旅費の支出がなくなったため、次年度使用額が生じた。今後消耗品を入手し、令和5年度に使用する予定である。
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