2021 Fiscal Year Research-status Report
リキッドバイオプシーに基づく口腔癌の予防的頸部郭清
Project/Area Number |
20K09710
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 基之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50632329)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床的にリンパ節転移を認めない早期口腔癌対する標準治療は手術である。潜在的なリンパ節転移が約30%の症例に認められることから、①原発巣切除+予防的頸部郭清、②原発巣切除+経過観察、のいずれかが選択される。②では潜在的リンパ節転移が臨床的に顕在化した時点で治療的頸部郭清が行われる。しかし、それぞれに利益・不利益があり、手術方針について一定の見解は得られていない。換言すれば、潜在的リンパ節転移を予測するバイオマーカーが希求されている。本研究では、原発巣切除+経過観察で加療する患者を対象として、最新の技術を駆使したリキッドバイオプシーによりcirculating tumor DNA (ctDNA)を解析し、原発巣切除後に潜在的リンパ節転移が顕在化するよりも先行してctDNAが検出されることを後方視的且つ前方視的に実証する。本研究によりリキッドバイオプシーの有用性が確立されれば、一期的に原発巣切除のみを行い、術後にctDNAが検出される場合に限り二期的に予防的頸部郭清を行うという、個別化医療の実現に向けた礎が構築される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンプル数の不足
|
Strategy for Future Research Activity |
舌癌20例の原発巣、血液から抽出したリンパ球からDNAを抽出し、コバリスで断片化したDNAからシーケンスラーブラリーを作製し、Miseqを用いてターゲットシーケンスを行った。TCGAのデータベースから81%の症例で変異が検出されると予想されたTP53、FAT1、CDKN2A、NOTCH1、PIK3CA、KMT2D、CASP8の7遺伝子のエクソン領域をターゲットとしたところ、17例(85%)でターゲットとなる遺伝子変異を同定できた(変異率;31-63%)。次いで、7例でこれら遺伝子変異を血漿中に同定できるか検証するため、個々の変異をデジタルPCRで測定するためのプライマープローブセットをデザインした。腫瘍組織をデジタルPCRで測定したところ、7例全例においてMiseqで得られた変異とほぼ同様の変異率で検出できた。 これら症例の治療前の血漿では7例中6例で検出でき、T1N0M0の1例も検出できた。6例のうち術後1週間前後に血漿中の変異が残存したものは3例あり、うち2例でその後再発を認めた。これら2例は術直後に比べ、再発時の血漿中変異コピー数は上昇していた。 現在、ターゲットが確認された残りの10例で同様に血漿中の解析を進めている。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響でサンプル数が集まらなかった
|