2020 Fiscal Year Research-status Report
Safetyness and efficacy of mucosal route of immunotherapy with transgenic rice seads containing whole T cell epitopes of Cryj1 and Cryj2 for patients with japanese cedar pollinosis
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20K09712
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
川内 秀之 島根大学, 医学部, 客員研究員 (50161279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森倉 一朗 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (00362939)
淵脇 貴史 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (10437543)
山田 高也 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50191317) [Withdrawn]
青井 典明 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (80452556)
飯笹 久 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (80306662)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スギ花粉症 / 免疫療法 / スギ花粉症治療米 / maternal immunization / Th2型サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
①スギ花粉症マウスモデル(BALB/c) を用いて、スギ花粉症治療米を用いた舌下あるいは経口摂取での免疫療法の効果を詳細に検討した。②さらに、スギ花粉抗原を抽出した粗アレルゲンを用いて、妊娠マウスに経口に自然摂取によるアレルゲン投与を行い、出産後に成長した仔マウスを持ちいて、スギ花粉症発症が予防されるか(maternal immunotherapy)どうかについて、仔マウスでのスギ花粉症を誘導するために全身感作を行い、血清中のIgE抗体価他について、予備実験を行った。その結果、誘導相においてスギ花粉症治療米で舌下免疫療法を行った群では、局所点鼻後の鼻症状(くしゃみ、鼻掻き)の用量依存的低下を認めた。さらに、同マウス群においては、鼻粘膜組織における好酸球浸潤の抑制を認めた。局所感作後の血清中のIgE抗体の低下、ならびに頸部リンパ節リンパ球の特異的Th2型サイトカイン(IL-5,IL-13)産生の低下、IFN-γ産生の増強を認めた。経口ルートでの自然摂取での免疫療法を行ったマウス群においては、誘導相においても用量依存的に鼻症状の抑制ならびに鼻粘膜への好酸球浸潤の抑制を認めた。さらにヒトスギ花粉症病態への治療法の応用を考える上で、反応相における経口自然摂取の有効性を検討したが、誘導相と同様に、再度の局所点鼻後の鼻症状の抑制が有意に認められ、組織学的に好酸球の浸潤も抑制されていた。粗アレルゲンを用いたmaternal immunizationの効果については、妊娠マウスへの投与時期や仔マウスへの全身感作時期や局所点鼻の時期など詳細を検討中であるが、特異的血清中のIgE抗体の低下傾向を認めており、鼻症状の抑制効果について、来年度以降に詳細に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スギ花粉症治療米を用いた経粘膜的ルートでの免疫療法の実験では、舌下あるいは経口自然摂取での鼻症状の抑制効果がすでに示されていたが、鼻粘膜の好酸球の浸潤の程度や頸部リンパ節での免疫学的解析により、その有用性の機序が証明された。さらに反応相での経口免疫療法での有効性が示された点が、ヒトスギ花粉症病態への本治療法の応用の可能性を示唆した。上気道細菌感染症に関する効果がマウスモデルで報告されているmaternal immunizationについては、preliminary dataであるが、アレルゲン特異的IgE抗体の低下傾向を認めたため、本実験系での今後の検討が必要であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
スギ花粉症治療米を用いた経粘膜的ルートでの免疫療法の実験では、誘導相さらには反応相での経口自然摂取での鼻症状の抑制効果が示されたが、血清中の特異的IgE抗体価の推移、鼻粘膜の好酸球の浸潤の程度、頸部リンパ節や脾臓リンパ球での免疫学的解析(各種サイトカイン産生、特異的調節性T細胞の誘導)などを詳細に行うことを目標にしたい。 上気道細菌感染症に関する効果がマウスモデルで報告されているmaternal immunizationについては、preliminary dataであるが、アレルゲン特異的IgE抗体の低下傾向を認めたため、本実験系での今後の検討が必要であることを明らかにした。粗アレルゲンでの実験を行い、実験系の確立を行い、投与するアレルゲンをスギ花粉症治療米に変更して、その有効性を検討する。
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Causes of Carryover |
世界的な新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、出席を予定していた2020年6月の欧州鼻科学会が2021年秋に延期されたため、国際学会出席の経費を使用できなかった。 同様に日本国内での学会がリモートでの中継会議となり、交通費を使用しなかった。 さらに、マウスを用いたスギ花粉症モデルの実験において、当初に予定していた実験計画において、新型コロナウイルス感染症国内蔓延により、共同研究者との研究内容に関する打ち合わせ、実際の実施において遅れを生じたため、次年度使用額が生じた。次年度は、延期された国際学会への参加費用、国内学会への参加費用、さらには、妊娠マウスを持ちいたmaternal immunizationの実験において、次年度使用額を使用する予定である。
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Research Products
(7 results)