2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K09716
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
若崎 高裕 九州大学, 大学病院, 助教 (10608871)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神武 洋二郎 近畿大学, 産業理工学部, 教授 (90531963)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / バイオマーカー / lncRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部扁平上皮癌(以下 頭頸部癌)は全癌の4-5%と少なく、腫瘍の部位、発癌の機序も多岐にわたるため、特異的な治療ターゲットや有用なバイオマーカー研究が進んでいない。ポストゲノム時代に入り、頭頸部癌の発生・進化にもエピジェネティックな機構が大きく関与する事が注目されており、lncRNAは発がん及び癌の進展に重要な役割を担っている報告が増えている。がん進展に重要と考えられる3つのlncRNAに注目した。ANRIL(antisense non-coding RNA in the INK4 lucus), OIP5-AS1(OPA-interacting protein 5 antisense transcript 1)およびPANDA(p21 associated ncRNA DNA damage activated)に注目し、解析を進める。これらのlncRNAは、細胞周期およびアポトーシス制御に関与すること、肺癌や胃癌で高発現していることなどが明らかとなっている。頭頸部癌におけるこれらlncRNAの機能を解明し、頭頸部癌の予後、治療耐性度を予測・反映するバイオマーカーの開発、新規治療につなげたい。本研究では、①頭頸部癌での作用機序②頭頸部癌の進行・再発のモニタリングや予後予測における有用性の有無を解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナの影響により、実験室の使用が制限されたことなどにより、実質的に実験を進展させることができなかった。2021年度に実験を進めるために、準備を行っている。 バイオマーカーに関する臨床論文(Prognostic Biomarkers of Salvage Chemotherapy Following Nivolumab Treatment for Recurrent and/or Metastatic Head and Neck Squamous Cell Carcinoma)を執筆し、Cancers誌に掲載された。
|
Strategy for Future Research Activity |
① ANRIL、OIP5-AS1、PANDAの過剰発現/ノックダウンによる形質転換の解析 口腔癌由来:CAL27/HSC4/SCC9 etc.; 下咽頭癌由来:FaDu etc.)で、レトロウイルスベクター(過剰発現用; pBabe-puro, ノックダウン用; pSUPER.retro-puro)を用いて実験を行う。ANRILに関しては、下咽頭癌細胞株FaDuにおいてp53を介して細胞周期を制御し、その増殖能と正に相関することを示した(Anticancer Res. 2019)。我々の、予備実験においてはOIP5-AS1は頭頸部がん細胞株FaDuを増殖に関してp18、p19を介して正の相関を示しており、PANDAに関しても解析を進めている(次項目図)。EMT関連事象(遊走能、浸潤能)やsphere assayなども含めて解析を行い、幹細胞維持に関連する解析も行う予定である。臨床検体での解析もすすめる予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナによる研究室一時閉鎖などの影響により十分な実験を行うことができなかったために、当初計画を次年度に繰り越すこととした。したがって、予算の執行も翌年度繰越金が生じた。
|