2020 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境における頭頸部がん幹細胞のEMTを介した腫瘍免疫抑制と回避の解明
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20K09718
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
太田 一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00326323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 昭久 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 教授 (60275336)
森 英一朗 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70803659)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | EMT / がん微小環境 / がんの浸潤転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では頭頸部がんの治療効果の向上のため、がん細胞の浸潤・転移のしくみを解明し、そのしくみを基に浸潤・転移を阻止することを目的としている。 頭頸部がんにおいて、これまでの治療の進展により臓器温存を含めて患者のQOLは改善しつつあるものの、生存率の大きな改善に至っていないのが現状である。その死因の多くは局所再発と遠隔転移であり、つまり、いかにがんの浸潤・転移を制御するかが治療の要であると考えられる。がんが浸潤・転移していく過程で、上皮の基底膜や周囲の間質を突き破り増殖していくためにはタンパク質分解酵素が必要であり、特にその浸潤・転移のあらゆる局面においてMatrix metalloproteinase (MMP)が関与していると言われている。 我々は、これまでにとりわけ細胞膜結合型のMMPであるMT1-MMPが、がん細胞自身に強発現し、がん細胞の浸潤・転移の直接的な担い手になっていることを報告してきた。さらに、Wntシグナル伝達経路がSnailを介してEMTを誘導することで、MT1-MMP及びMT2-MMPを誘導し、がん細胞の浸潤・転移能を獲得させることを見出してきた。さらに、EMTががんの浸潤・転移のKey Factorであるとともに、がん幹細胞の重要な制御因子であることが示唆された。 近年、がん細胞を取りまく微小環境の重要性が注目されており、がんの浸潤・転移のしやすさががん細胞自体のみならず、がん細胞と微小環境との相互関係が深く関与していることが分かりつつある。そこで、我々が開発したがんの浸潤・転移モデル実験系などを用いて、がん微小環境において、がん細胞がEMT(Epithelial-Mesenchymal Transition、上皮間葉移行)を誘導するとともにがん幹細胞の活性化を促進し、そしてどのようにして腫瘍免疫抑制・回避能を獲得するのかを解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験計画を概ね遂行できていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
がん浸潤・転移モデルを用いた頭頸部がん移植腫瘍における微小環境でのSnailシグナル伝達経路によるがん幹細胞の同定とその活性化(浸潤・転移能および腫瘍免疫抑制・回避能)の解析を中心に行う予定であり。
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Causes of Carryover |
本年度は当初計画していたin vitro実験にかかる費用が軽減できたため、次年度使用額が発生した。 次年度は、これまでのin vitro/in vivo 実験とともに新たな細胞機能実験を施行する予定である。
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