2022 Fiscal Year Research-status Report
SLC26A4遺伝子変異で見られる多彩な表現型に関する要因の解明
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20K09728
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 卓 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (40401400)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SLC26A4 / 前庭水管拡大 / ペンドレッド / メラニン / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は当初の予定を進めることができたため論文執筆まで進めることができた。 ・マクロファージを標識するIba1およびF4/80抗体で内耳血管条を標識し、白色系実験群における標識パターンは対照群におけるものと比べて大きな差異がなく、Slc26a4KOマウスにおけるマクロファージの活性化は、CD68発現量の上昇と大きな相関があることが確認された。 ・Slc26a4 KOマウスの平衡障害の病態を解明するため、マイクロCTにて耳石形態、前庭水管のサイズ、水平半規管の角度を計測し、独自に開発したマウス眼振解析装置にてマウス眼球運動の解析を行った。その結果、Slc26a4 KOマウスでは半規管障害の障害は軽度であり、耳石器機能の障害が高度であることが分かった。 また、水平半規管の傾きは野生型と比べて大きな変化は認めなかった。さらに半規管障害の程度と前庭水管拡大のサイズには明らかな相関を認めなかった。蛍光顕微鏡を用いた耳石器有毛細胞の形態を観察では、強い平衡障害を認めるマウスでも有毛細胞の形態に大きな差は認めなかった。 以上のことから、本モデルマウスの平衡障害は主に耳石の形態異常による卵形嚢、球形嚢障害と考えられ、現在論文に投稿中である。 ・共同研究者からm-TOR阻害薬であるシロリムスを供与されたため、本薬剤を投与してこれまでに見られた障害が軽減するかどうかを検討している。現時点で血管条のマクロファージ活性化が抑えられる効果が認められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多くのデータを保管することが出きて、論文を投稿することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに突き進めて、治療薬の発見につなげることを予定している。
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Causes of Carryover |
論文執筆を進め英文雑誌に投稿中であるが、追加実験を指示される可能性もある。また、予定していた治療薬の効果判定を行うために、もう少し実験期間が必要だと考えた。
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