2022 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージ極性制御による上気道線維化病変に対する新規治療技術開発
Project/Area Number |
20K09730
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸本 曜 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80700517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 弘恵 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50397634)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 声帯 / 線維化 / 瘢痕 / マクロファージ / 極性 |
Outline of Annual Research Achievements |
喉頭・気管の線維化疾患は呼吸、発声、嚥下において重篤かつ難治性の機能障害をもたらし、患者のQOLを著しく低下させるが、現時点で治療法が確立していない。本研究ではマクロファージ極性に注目し、喉頭・気管の創傷治癒過程における線維化予防方法の基盤技術確立を目的とした。 まず、マクロファージ極性に影響することが報告されているPPARγアゴニストを損傷したラット声帯の炎症期に投与し、炎症期のマクロファージ極性への影響を検討した。PPARγアゴニストが炎症期におけるCCL2発現をPPARγ依存的に抑制し、炎症性マクロファージの浸潤を抑制した。このことからPPARγ活性がCCL2を介した炎症性マクロファージ浸潤を制御することが示唆された。またPPARγアゴニストは炎症期のマクロファージ極性を炎症性から修復性に調節した。PPARγアゴニストのCCL2抑制効果はヒト単球系細胞株であるTHP-1細胞から誘導した炎症性マクロファージを用いた実験でも確認された。 続いて、損傷ラット声帯の炎症期に投与したPPARγアゴニストが瘢痕成熟期の線維化に与える影響を評価した。PPARγ活性が炎症期におけるTGF-β1とACTA2の発現を抑制し、瘢痕成熟期のコラーゲン、Ⅰ型コラーゲン、フィブロネクチンの蓄積を減少させ、線維化を制御することが分かった。さらに、PPARγ活性が声帯振動に重要とされるヒアルロン酸の減少も抑制し、組織修復を促進することが示唆された。これらの結果から炎症性マクロファージやPPARγ活性が線維化疾患の治療標的になる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)