2021 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子改変ゼブラフィッシュを用いた有毛細胞障害機構の解明
Project/Area Number |
20K09733
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山下 裕司 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00210419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 一真 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20346555)
橋本 誠 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50343299)
廣瀬 敬信 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80555714) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遺伝性難聴 / 側線器 / 有毛細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトにおいて遺伝性難聴の原因となる遺伝子が数多く存在することが明らかになってきているが,現在まで根本的な治療方法は存在しない。本研究では難聴遺伝子を欠損した遺伝子改変ゼブラフィッシュを作出して実験を行っている。2021年度は常染色体劣性遺伝形式をとる非症候群性難聴(DFNB16)の原因遺伝子であるSTRCの遺伝子欠損ゼブラフィッシュを用いて研究を行った。CRISPR-CAS9システムを用いた遺伝子改変ではSTRC遺伝子のExon中の特定の配列を標的とし、gRNAを設計した。Cas9タンパクと共に第1細胞期の受精卵へ導入し、成魚になるまで育成した。それらを野生型と交配し、F1世代を作成してゲノム配列を確認すると、標的部位への14塩基の挿入を認めた。ヘテロ変異体のF1世代同士を交配し、F2世代でホモ変異体を得た。このホモ変異体の解剖学的特徴,生理学的特徴について検討した。生後5日目のホモ変異体を光学顕微鏡で観察したが、内耳の構造や耳石の形態などに明らかな差は確認できなかった。またプラスチック包埋のうえHE染色したが、耳石器官の有毛細胞の配列、形態には明らかな差を確認できなかった。光学顕微鏡では聴毛の観察までは不可能であり、免疫染色の追加や電子顕微鏡などでのより詳細な観察が必要と考えている。さらに、水槽内での遊泳行動にも明らかな差は認めなかった。現在、暗所での遊泳行動の評価や、流水や回転などの負荷を加えた上での解析を追加検討中である。結果については,学会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はこれまでに作成した遺伝子改変動物の中で,STRC遺伝子欠損ゼブラフィッシュを解析し,学会にて報告を行っており,予定どおりに研究が兼行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,昨年度に明らかにしたSTRC遺伝子欠損ゼブラフィッシュについて論文報告する予定である。また,他の遺伝子についても検討し,遺伝性難聴に関連する遺伝子の側線器有毛細胞での役割を明らかにすることができる予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究成果を学会報告のため旅費を予定していたが,オンラインでの報告となり,予算が低額に抑えられた。研究は予定どおり進んでおり,残余の研究費を次年度の研究に使用する予定とした。
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