2021 Fiscal Year Research-status Report
The analysis for clinical utility and role of the myeloperoxidase-deoxyribonucleic acid complex in otitis media with antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitis
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20K09744
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森田 真也 北海道大学, 大学病院, 助教 (80443951)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 耳鼻咽喉科学 / 耳科学 / 好中球細胞外トラップ / 中耳炎 / 血管炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、被験者から採取した臨床検体(血液および中耳貯留液)を用いて、NETosisの際に放出されるMPO-DNA複合体、cell-free DNA、シトルリン化ヒストン-DNA複合体を好中球細胞外トラップ(NETs)と定義して測定を行った。しかし、NETs代謝産物を測定しているため正確にはNETosisと、その結果発生するNETsを直接的に評価したわけではない。そこで今年度は、蛍光顕微鏡を用いた画像解析で中耳貯留液においてNETosisが発生しているか評価した。 ANCA関連血管炎性中耳炎から採取された中耳貯留液では、蛍光顕微鏡を用いた画像解析でNETosisの発生が確認できた。昨年度にELISA法で解析したMPO-DNA複合体、cell-free DNA、シトルリン化ヒストン-DNA複合体のレベル値との整合性があると思われた。一方、滲出性中耳炎から採取された中耳貯留液ではNETosisの発生は確認できなかった。 近年では、NETsがANCA関連血管炎性中耳炎の病態に重要な役割を果たすことが示唆されている。NETsは、NETosisと呼ばれる特殊な細胞死を起こした好中球から放出される細胞外DNAと約20種類の細胞質内酵素から構成される。現在までに報告されているNETosisの評価方法は、これらの細胞外DNAと酵素に着目している。しかし、標準的な評価方法は確立されておらず、様々な方法が存在する。昨年度と今年度の研究結果から、中耳炎の病態を考慮に入れて適切なNETosis評価方法を選択する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプルの集積も順調であり、用いる試薬もコロナウイルス流行による物流状況の悪化の影響を受けなかったため、進捗状況は順調という結果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
各種のNETosis評価方法を用いて、ANCA関連血管炎性中耳炎の病態にNETsおよびNETs代謝産物が関与することが示唆された。今後は、NETsおよびNETs代謝産物の発現量と臨床的側面との関連性を明らかにし、新しい診断法・治療効果判定法として用いることができるのか検証する。 まず、保存していた臨床検体(血液および中耳貯留液)を用いてNETs代謝産物(MPO-DNA複合体、シトルリン化ヒストン-DNA複合体、cell free-DNAなど)の発現レベル値を測定し、後方視的に疾患の重症度・活動性・治療効果などの臨床像との相関関係を解析する。またカットオフ値を設定し、それぞれのNETs代謝産物同士の互換性を検討する。 次に、得られた結果をもとに前方視的な臨床試験を計画し、血液および中耳貯留液におけるNETs発現量の測定が、新しい診断法・治療効果判定法として有用であるかを検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行の影響により学会参加の機会が少なくなり、旅費・参加費の支出が当初の想定に達しなかったことによる。次年度は新型コロナウイルス流行の落ち着きが想定されるため、海外学会への参加等で旅費・参加費の使用を見込んでいる。
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Research Products
(5 results)