2022 Fiscal Year Research-status Report
The analysis for clinical utility and role of the myeloperoxidase-deoxyribonucleic acid complex in otitis media with antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitis
Project/Area Number |
20K09744
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森田 真也 北海道大学, 大学病院, 助教 (80443951)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 耳鼻咽喉科学 / 耳科学 / 好中球細胞外トラップ / 中耳炎 / 血管炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究では、被験者から採取した中耳貯留液を用いて、NETosisの際に放出されるMPO-DNA複合体、cell-free DNA、シトルリン化ヒストン-DNA複合体を好中球細胞外トラップ(NETs)と定義してELISA法で測定を行った。ANCA関連血管炎性中耳炎から採取された中耳貯留液では、これらのNETosis代謝産物の発現レベル値が高値を示した。また、蛍光顕微鏡を用いた画像解析で中耳貯留液においてNETosisが発生しているか評価したところ、ANCA関連血管炎性中耳炎から採取された中耳貯留液では、蛍光顕微鏡を用いた画像解析でNETosisの発生が確認できた。ANCA関連血管炎性中耳炎の病態にNETosisおよびNETosis代謝産物が重要な役割を果たすことが示唆されたため、今年度の研究は、NETosisおよびNETosis代謝産物と疾患の重症度・活動性・治療効果などの臨床像との相関関係を解析した。NETosis代謝産物の発現レベル値とANCA関連血管炎性中耳炎の聴力閾値は、正の相関関係を示すという結果であった。また、活動期のANCA関連血管炎性中耳炎から採取した中耳洗浄液のNETosis代謝産物の発現レベル値を測定したところ、寛解期のANCA関連血管炎性中耳炎のものと比較して有意に高値を示した。昨年度と今年度の研究結果から、NETsの適切な評価がANCA関連血管炎性中耳炎の診断や疾患活動性を評価するバイオマーカーとなりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンプルの集積も順調であり、用いる試薬も物流状況の悪化の影響を受けなかったため、基礎研究に関しては進捗状況は順調であった。ただコロナウイルス流行によって臨床試験の計画にはやや遅れが生じたため、次年度に延長となった。
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Strategy for Future Research Activity |
各種のNETosis評価方法を用いて、ANCA関連血管炎性中耳炎の病態にNETosisおよびNETosis代謝産物が関与することが示唆された。また、NETosis代謝産物の発現レベル値とANCA関連血管炎性中耳炎の聴力閾値は、正の相関関係を示すという結果であった。そのため、NETosisの適切な評価がANCA関連血管炎性中耳炎の診断や疾患活動性を評価するバイオマーカーになりうると思われた。今後は、NETosisおよびNETosis代謝産物の発現量と臨床的側面との関連性をさらに明らかにするため、前方視的な臨床試験を計画し、血液および中耳貯留液におけるNETosis代謝産物の測定が、新しい診断法・疾患活動性の評価法・治療効果判定法として有用であるかを検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行の影響によって臨床試験計画に関連する支出が当初の想定に達しなかったことによる。次年度は新型コロナウイルス流行の落ち着きが想定されるため、臨床試験計画に関連する支出や海外学会への参加等で旅費・参加費の使用を見込んでいる。
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