2021 Fiscal Year Research-status Report
予後不良となるヒト甲状腺癌のモデルマウス作製と治療標的の探索
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20K09748
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山口 高志 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (60626563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 和彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 技術専門職員 (80422260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 甲状腺がん / 遺伝子改変マウス / 3D培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、予後不良となる甲状腺癌はRAS遺伝子変異とSV40 large T抗原(SVLT) の共存によって発生することを明らかにすること、そして、予後不良となる甲状腺癌の診断治療に有効なバイオマーカーの確立や治療標的となる分子メカニズムの理解へと進むことである。 当初計画では、甲状腺特異的なOncogenic KrasとSVLTの発現によるマウス甲状腺発癌モデルの確立を目指していたが、初年度(令和2年度)である当該研究の開始時期において緊急事態宣言の発出があり、甲状腺発がんをもたらすモデルの一部を構成するマウスストレインの導入を停止せざるを得ないという状況が発生した。遅延していた当該マウスストレインの導入は令和3年度中に無事実施され、当該年度末時点において、目的としている甲状腺特異的なOncogenic Krasと強力なSVLTの発現によるマウス甲状腺発癌モデルの作製を急いでいるところである。また、前年度までに遂行していた甲状腺癌細胞と不死化甲状腺濾胞上皮細胞の初代培養および3D培養のin vitro解析モデル開発につづき、令和3年度では、さらにこの状況を進め、当該培養細胞集団からのクローン化、そして当該細胞細胞株を用いた3D培養における形態(Sphere型、Tube型)変化を制御するための基礎実験を進めたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(令和2年度)である当該研究の開始時期において緊急事態宣言の発出があり、計画していた強力にSVLTを発現させるマウスの導入が困難となって、予定時期がずれて、令和3年度中の実施となった。このための遅延期間が、今年度のマウス交配における甲状腺発がんマウスモデル開発の進捗状況に影響を与え、進捗状況の区分としては「計画に遅延が発生している状況」となるため、(3)やや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は引き続き、当該甲状腺特異的Oncogenic Kras/SVLT共発現マウスモデルの作製の試みを継続し、当該マウスにおいて甲状腺がんが発生するかどうかの病理組織学的に解析することを第一の目標とする。令和3年度末時点において、強力なプロモーター支配下でSVLTを発現するマウスの入手計画が完了し、Oncogenic Krasが発現するマウスとの交配による甲状腺特異的にOncogenic KrasおよびSVLTが共発現する遺伝子改変マウスの作成作業を進めており、令和4年度の実施予定は完了できる見込みである。 細胞株の樹立や3D培養に必要な技術開発は、マウスモデルの作製と並行して実施しており、すでにほぼ完成した状況にある。当該甲状腺発癌マウスモデル完成後に、確立した手順に従って、当該マウス甲状腺がん組織に由来するオリジナル細胞株の樹立を行うとともに、3D培養した細胞株のRNA-seq解析をすすめて特徴的なバイオマーカーの探索を行う。さらには、当該バイオマーカー遺伝子の発現について、マウスに形成された甲状腺癌組織標本ならびに、ヒト甲状腺癌組織の病理組織学的解析を行うとともに、ノックアウトあるいは過剰発現させた細胞株を作製するなどして、細胞増殖への影響が生じるかなどの確認を行う。
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