2022 Fiscal Year Annual Research Report
予後不良となるヒト甲状腺癌のモデルマウス作製と治療標的の探索
Project/Area Number |
20K09748
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山口 高志 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (60626563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 和彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 技術専門職員 (80422260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 甲状腺がん / 疾患モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、予後不良となる甲状腺癌はRAS遺伝子変異とSV40 large T抗原(SVLT) の共存によって発生することを明らかにし、そして、予後不良となる甲状腺癌の診断治療に有効なバイオマーカーの確立や治療標的となる分子メカニズムの理解へと進むことである。 令和2年度の当該研究の開始時期において新型コロナウイルス感染症流行に伴う緊急事態宣言の発出があり、甲状腺発がんをもたらすモデルの一部を構成するマウスストレインの構築を停止せざるを得ないという状況が発生したものの、当初計画のとおり、Oncogenic KrasとSVLTの同時発現型の甲状腺発癌マウスモデルの確立を令和3年度中に行うことができた。最終年度の令和4年度においては、CAGプロモーターによって強力SVLTを発現するようにして、甲状腺特異的にOncogenic Krasと共発現させるマウスを作出して解析した。 甲状腺におけるOncogenic KrasとSVLTの発現誘導が、成体マウスで6週間以上となるようにして組織学的な解析をおこなったところ、細胞異型は弱いものの異常な甲状腺濾胞の増生を確認した。また、甲状腺組織より細胞株を樹立してヌードマウス皮下への移植を行ったところ、造腫瘍性が確認された。これらのことより、Oncogenic KrasとSVLTのin vivo同時発現が、構造異型や細胞異型に乏しい「ヒトの甲状腺濾胞腺癌」に類似の病変形成の原因になり、発生した腫瘍はヌードマウスへの可移植性を有する「がん」としての性格を持つことを明らかにした。今後、遺伝子変異やエピゲノム変化を検索することで、本研究の目的である人の甲状腺がんの治療に有効なバイオマーカーの確立や治療標的となる分子メカニズムの理解へと進む可能性が考えられる。
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