2020 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌におけるctDNA検出法の確立および臨床応用
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20K09758
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
平川 仁 琉球大学, 病院, 講師 (50437993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 太郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00754409)
山下 懐 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (60569622)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リキッドバイオプシー / 頭頸部癌 / ctDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞は血流、リンパ流に乗って遠隔転移してゆき、上皮間葉転換することにより遠隔転移が成立しやすくなる。また癌細胞は宿主免疫や治療から逃れるため、分子フロファイルを変えている。本研究は頭頸部癌におけるctDNAの有用性を明らかにし、臨床応用をめざし研究を遂行している。ctDNA採取には克服すべき課題がいくつか存在するが最も重要なのは非常に微量であるという点である。血漿中のcell free DNAの中で、ctDNAは0.01%以下で、その 濃度は1~100 ng/mlと低く、腫瘍量を反映している。さらに通常のゲノムDNAと異なり、血中では80~200塩基対程度に分解されておりその半減期は2.5時間と極めて短いため、リアルタイムの腫瘍細胞の情報を反映している。微量なctDNA検出で正確な結果を得るために試料の収集法と解析前サンプル調製を一定にした。すなわち患者からの血液採取、遠心による血漿分離、血漿DNA抽出、および抽出DNAの定量を標準化を行った。特に、血漿を遠心分離するまでの時間がサンプルの品質に大きく影響するため、時間を統一した。採血後時間が経過するに従い、ctDNAは崩壊し、さらに血中有核細胞由来DNA量が増加し、相対的にctDNA量が減少する。そのため、採血後の検体を凍結することなくに血漿の遠心分離を行うプロトコールを作成し、実施可能であることを確認した。 現在頭頸部上、中、下咽頭癌、喉頭癌、副鼻腔癌症例で、54症例87検体を採取し、ctDNAの採取に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ctDNAの採取は順調に進んでいるが、頭頸部癌の癌関連遺伝子変異(TP53, PIK3, CDKN2A, FBXW7, HRAS, NRASなど)、HPV関連中咽頭癌に関してはHPV(E6)、上咽頭癌でのEBVの検出方法に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
ctDNA は特に2つの情報を持つ。質的情報(ゲノム情報)→heterogeneity(転移および治療抵抗性)と量的情報(ctDNAの濃度)である。 ctDNAの測定を通して予後・遠隔転移予測、術後根治性診断、化学療法治療効果のモニタリング、再発の早期診断を行う。具体的には①導入化学療法を行うステージⅢ、Ⅳ下咽頭癌症例:導入化学療法前後、経過観察時②化学放射線治療を実施する上咽頭癌、中下咽頭癌例:治療前後、経過観察時③手術を行う口腔、中下咽頭、喉頭扁平上皮癌:手術前後、経過観察時④遠隔転移症例:化学療法前後、経過観察時である。臨床パラメータの集積および治療効果判定、予後データの集積、患者情報、画像情報(内視鏡、CT、MRI)、治療方法、術後病理組織、予後情報はデータベース化されている。ctDNA解析と臨床データとの相関を検討し実臨床への応用を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延、持続により、学会参加、研究会参加に著しく支障をきたした。特に国際学会にアクセプトされていた発表もかなわず、これらにかかる費用を次年度に繰り越した。
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