2021 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌における低酸素応答因子の免疫応答への影響の解析とその臨床応用
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20K09762
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小澤 宏之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (30327621)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低酸素応答因子 / 頭頸部癌 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト由来の頭頸部癌細胞株(FaDu、Detroit562、HSC-2、HSC-4 )を用い、これらの細胞の正常酸素分圧および低酸素下で培養し、HIF1-αと低酸素関連分子および免疫応答に関連する遺伝子発現について、Real time PCRを用いて解析を行った。 それぞれの細胞を酸素濃度0.05%+低栄養下で培養し、12、24、48、72、96時間の時点で腫瘍細胞からmRNAを抽出し、正常酸素分圧での遺伝子発現と比較した。Detroit 562、HSC-4では低酸素培養下24時間でHIF1-αの発現が上昇し、これにあわせてPD-L1発現が上昇した。この効果は48~96時間で不安定であった。PD-L2、HVEM、Galectin9など腫瘍の免疫応答に関連する遺伝子については発現は上昇しなかった。一方でFaDuやHSC-2細胞ではPD-L1の上昇は生じなかった。 Detroit562、HSC-4では腫瘍の低酸素下にともないPD-L1発現が生じ免疫細胞より逃避する機構があることが推測された。FaDu、HSC-2はすでに低酸素状態に強い細胞であることがHIF1-α発現に変化がないことから推測された。 次に、この低酸素下のPD-L1誘導がHIF1-α阻害薬を投与した場合に生じるかどうか検討したところ、HIF1阻害薬(KC7F2)を負荷して同様の検討を行ったところ、低酸素下のPD-L1上昇はKC7F2の濃度依存性に阻害された。このことからDetroit 562およびHSC-4に生じた低酸素下のPD-L1上昇がHIF1-αを介したものであることが示された。 次に、それぞれの腫瘍細胞の低酸素下で培養し、PD-L1発現を蛍光免疫染色で評価し、mRNA同様に低酸素時にPD-L1発現が上昇することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の腫瘍細胞で種々の条件下での低酸素の影響を検討し、またそのメカニズムとしてHIF1-αを介した経路が重要な役割を果たすことを確認した。今後はマウス由来細胞での同様の解析の準備を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス由来細胞で同様の検討を行う。臨床検体におけるHIF1-αとPD-L1発現との関係について免疫染色で評価する。
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