2022 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌における低酸素応答因子の免疫応答への影響の解析とその臨床応用
Project/Area Number |
20K09762
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小澤 宏之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (30327621)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低酸素応答因子 / 頭頸部癌 / 免疫応答 / PD-L1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト由来の頭頸部癌細胞株(FaDu、Detroit562、HSC-2、HSC-4 )を用い、これらの細胞の正常酸素分圧および低酸素下で培養し、HIF1-αと低酸素関連分子、免疫応答に関連する遺伝子発現、特にPD-L1発現について解析した。 Detroit 562では低酸素培養下でHIF1-αの発現が上昇し、これにあわせてPD-L1発現が上昇した。その他の免疫関連遺伝子(PD-L2、HVEM、Galectin9など)は発現上昇しなかった。HSC-4ではHIF1-αは反応しなかったが、低酸素培養によりPD-L1は高度に上昇した。FaDuやHSC-2細胞ではPD-L1の上昇は生じなかった。これらのことから、低酸素下によりPD-L1発現が生じ、腫瘍細胞が免疫細胞より逃避する機構が働くことが推測された。これに対し、低酸素下でもHIF1-α発現が変化しない、即ち低酸素環境に影響を受けない細胞があることが推測された。 次に、HIF1-α阻害薬(KC7F2)を用い検討を行った。Detroit 562では低酸素培養下で上昇したHIF1-αおよびPD-L1発現がKC7F2を負荷することにより上昇しなくなり、その効果はKC7F2の濃度依存性であった。低酸素培養下でHIF1-α発現の変化のなかったHSC-2についてもKC7F2を投与したところ、HIF1-αおよびPD-L1発現の低下が生じた。これらのことからHIF1-α発現によりPD-L1発現が遺伝子レベル(mRNAレベル)でコントロールされていることが示された。
次に、それぞれの腫瘍細胞の低酸素下で培養し、PD-L1発現を蛍光免疫染色で評価し、mRNA同様に低酸素時にPD-L1発現が上昇することを確認した。
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