2020 Fiscal Year Research-status Report
エピゲノム編集による抹消血を用いた網膜色素変性病因遺伝子の発現解析法の開発
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20K09765
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西口 康二 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30447825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
藤田 幸輔 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80708115)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 網膜色素変性 / ゲノム編集 / リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.まずは、EYS遺伝子変異が同定済みの患者1名の不死化リンパ球をEBVウィルスを用いて作製した。次にEYS遺伝子変異を有する患者と正常者の末梢血由来のリンパ芽球を用いて網膜特異的な発現を示すEYSアイソフォームの発現を誘導する方法として、ゲノム編集を用いて同遺伝子のプロモーター領域を非メチル化された合成プロモーターに置換することを行った。しかし、この方法では、EYS mRNAの発現が安定しなかった。そのために、脱メチル化剤を添加したところ、これらの正常者の由来のリンパ芽球においてはEYS mRNAの発現が確認された一方で、患者由来のリンパ芽球ではEYS mRNAの発現は見られなかった。しかし、患者由来のリンパ芽球に脱メチル化剤に加えてmRNA分解抑制剤を添加したところ、EYS mRNAの発現が誘導された。 2. 前述の方法は薬剤により遺伝子発現を誘発するため、安定的なmRNA発現解析には適さない。また、シーケンス結果もゲノム領域によってばらつきがあった。そのために、新たなEYS遺伝子発現誘導の方法として、Cas9のnucleaseを不活化した変異体であるdCas9にtranscriptional activatorを付加しものとEYSのpromotor領域にデザインしたガイドRNAを用いてEYSの発現を誘導する方法をまずはHEK293T細胞を用いて確立した。この方法では薬剤でEYS発現を誘発する必要がない。現在、EYSを恒常的に発現する細胞株を樹立するために、dCas9を用いたEYS発現システムを正常者リンパ芽球のゲノムに組み込む実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2020年度は①非メチル化プロモーター置換用のベクターの作製を行い、そのうえで②不死化リンパ球における mRNA発現解析の最適化に着手する予定だった。 まず、①は完成し実際不死化リンパ球に投与したところ、EYS遺伝子発現は誘導されたが、脱メチル化剤の投与が必要であった。薬剤誘発モデルでは、安定したmRNA発現の評価が難しいため、方針を転換し、dCas9とガイドRNAを使った転写誘導を試みたところ、薬剤を使わずにEYS発現を得ることが確認された。次のステップとしてdCas9とガイドRNAを正常者リンパ芽球のゲノムに組み込む実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、EYSを恒常的に発現する患者由来EYS発現不死化リンパ球を樹立する。EYSのRT-PCRを行い、プロモーターの置換によりHEK293T細胞でisoform 4が発現していることを確認する。EYS遺伝子変異が同定済みの患者3名の不死化リンパ球を追加で作製する。同細胞株に対して上記研究項目で開発したベクターを遺伝子導入する。それらの細胞に対して、非メチルプロモーターに挿入されたタグ配列を指標に、EYS強制発現細胞株を樹立する。同細胞を用いてRNAシーケンスを行い、EYSのmRNAシーケンスと既知のゲノム変異情報を比較することにより、病因変異の逆算的同定が可能か検証する。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、異動のため年度の途中から実験がスピードダウンした。また、前任者から引き継いだ試薬を利用することができたため次年度使用が生じた。 実験環境が整いつつあるため、次年度以降は研究を加速させ、今年度分の予算を使用する予定である。
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[Journal Article] A hypomorphic variant in EYS detected by genome-wide association study contributes toward retinitis pigmentosa2021
Author(s)
Nishiguchi KM, Miya F, Mori Y, Fujita K, Akiyama M, Kamatani T, Koyanagi Y, Sato K, Takigawa T, Ueno S, Tsugita M, Kunikata H, Cisarova K, Nishino J, Murakami A, Abe T, Momozawa Y, Terasaki H, Wada Y, Sonoda KH, Rivolta C, Tsunoda T, Tsujikawa M, Ikeda Y, Nakazawa T
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Journal Title
Commun Biol
Volume: 4
Pages: 140
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research