2022 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノム編集による抹消血を用いた網膜色素変性病因遺伝子の発現解析法の開発
Project/Area Number |
20K09765
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西口 康二 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30447825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
藤田 幸輔 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80708115)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 網膜色素変性 / ゲノム編集 / リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、網膜色素変性患者由来の不死化リンパ球を対象に、ゲノム編集技術を用いて特定の網膜色素変性病因遺伝子のプロモーターを非メチル化することにより同遺伝子の強制発現細胞株の樹立を可能にする技術を開発することを目的とした。まずは日本人網膜色素変性患者の病因遺伝子として最も頻度が高いEYS遺伝子を開発対象とした。同遺伝子のプロモーター配列をゲノム編集を用いて非メチル化したところ、それ単独ではEYS発現は誘導されなかった。しかし、この細胞に対して脱メチル化剤を添加することによってEYS発現が検出され、加えて、病的変異によるmRNAの構造異常も検出することができた。我々はさらに効率的な手法を樹立する目的でCRISPR activationを用いた遺伝子強制発現法の開発に着手した。 EYS転写開始点をカバーするようにgRNAを複数デザインし、それらをCRISPR activationに用いた。その結果、我々は、リンパ芽球において、網膜特異的なEYS遺伝子の発現の誘導に成功した。さらに最終年度は、日本人網膜色素変性患者の病因遺伝子の上位であるRP1とUSH2Aにおいても発現の誘導に成功した。 この手法を用いることで、患者由来のリンパ芽球細胞株を用いて、本来、網膜でしか発現しない網膜色素変性病因遺伝子のmRNA発現解析を行うことが可能であり、同患者のゲノム情報と照合することによって病因変異を同定することができる。今後は、さらに改良を進めて、末梢血を用いた簡便かつ安価な遺伝子診断補助検査法の開発を目指している。
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