2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of cytokine-dependent epigenetic regulation mechanism in refractory ischemic retinal disease
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20K09768
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高村 佳弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00283193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲谷 大 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40335245)
沖 昌也 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (60420626)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サイトカイン / VEGF / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病黄斑浮腫の患者8名8眼を対象に、抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬の硝子体内投与を月に1回、3回連続で行った。初回と3回目の投与の際に、前房水を採取し、凍結保存した。マルチプレックスELISAキットを用いて、複数のサイトカイン量を計測した。 黄斑浮腫の程度の指標となる中心網膜厚および矯正視力の経時的な変化も記録できており、通院の脱落はほとんどない。サンプル採取に関わる有害事象の事例はなく、安全性に問題は生じていない。中心網膜厚の減少幅から、反応良好群と反応不良の難治性群とのグループ分けはできている。 同一患者から得たサンプルにおいても、1回目と3回目の投与の結果では差が見られた。3回の投与を通して、中心網膜厚の改善が大きかった患者群においては、VEGFの減少幅が、薬物治療に反応性の低かった患者群と比較して有意に大きかった。難治性の患者群においては、低下率の低かったサイトカインが複数見つかったが、症例の間でばらつきがあり、特徴的な因子は現時点では特定できていない。 現在、4症例、凍結サンプルがあり、さらに症例数を追加して解析することで難治性の症例群に特徴的な因子の特定を図る予定である。特定された因子のin vitroでの反応を解析する準備段階として、ヒト血管内皮細胞の培養を開始し、継代を維持している。因子が特定された後、培養液に付加して細胞増殖の効果判定などを行う。概ね、計画通りに進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトからのサンプル採取およびそれを用いてのサイトカインの定量ができている。予定では抗VEGF治療に難治性の症例において特徴的なサイトカインを同定できている予定であったが、まだそれができていない。ただし、定量解析は継続的に行っており、近日中に特定される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
抗VEGF治療に難治性となる症例に特徴的なサイトカインが同定できれば、ウサギの硝子体内投与し、精密眼底写真、蛍光造影眼底検査を行い、血管透過性の亢進と新生血管の増生を観察、記録する。経時的に網膜組織を採取、Trizol法によりRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行う。発現量の変動する因子を同定する。変動した因子の中から、既知のエピジェネティクスに関連した転写因子などを選出する。また、血管閉塞モデルに対してもさらにサイトカインを負荷することで同様の解析を行う予定である。
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