2022 Fiscal Year Research-status Report
眼底自発蛍光を用いたレーザー光凝固の瘢痕形成過程を指標とした効果判定基準の確立
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20K09777
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
野崎 実穂 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00295601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 範明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00812124)
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (70191963)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 汎網膜光凝固 / 従来凝固 / ショートパルス凝固 / 自発蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固は、失明を防ぐ重要な治療であるが、治療に伴う痛みや、視野障害といった合併症があった。近年登場したショートパルス凝固は、従来凝固より痛みが少ないという利点があったが、一方で瘢痕拡大が少なく、効果が弱いというデメリットも報告されていた。我々は、眼底自発蛍光を用いて、瘢痕サイズを定量する方法を確立し、ショートパルス凝固では従来凝固と比較して、治療後3年経過しても瘢痕の拡大率が有意に少ないことを明らかにした。また、自発蛍光を定量化するために、網膜血管アーケード近傍の凝固斑の自発蛍光の明度(mean grey value)とアーケード血管(静脈)の明度との比を算出する方法を確立した。 凝固後12か月までの凝固斑は、従来凝固では0.95、ショートパルス凝固では1.20と、両群とも凝固斑の自発蛍光は経時的に低下していったが、従来凝固がショートパルス凝固と比較して有意に凝固斑に明度は低い結果(p < 0.01)であった。さらに、今回は24か月まで経過観察期間を伸ばして比較したところ、18か月、24か月で従来凝固では 0.89, 0.85とさらに低蛍光化していたが、ショートパルス凝固では、 0.97、0.92 と有意に弱い低蛍光化であった。 さらに、低蛍光と瘢痕拡大率の相関を検討したところ、従来凝固で -0.95 (p=0.004)、ショートパルス凝固で-0.97(p=0.001)と非常に強い相関を認めた。 ショートパルス凝固を用いた網膜光凝固は、従来凝固と比べ凝固斑の低蛍光化が緩徐で、光凝固後のatrophic creepが生じにくい反面、汎網膜光凝固の虚血改善効果が緩徐となる可能性が示唆され、眼底自発蛍光を用いた評価法は有用と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文化が予定より遅れているが それ以外はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
OCT画像を検討に加え、3次元情報もあわせて、自発蛍光と瘢痕拡大率との相関しているメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
2022年度に異動などがあり研究が中断したため、1年延長している。 今年度中にオープンアクセスの論文投稿を予定しており、次年度使用額を投稿料にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)