2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of therapeutic strategy for corneal stromal scaring treatment by applying the NF1 (von Recklinghausen disease) gene.
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20K09791
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
白石 敦 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90314963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 康人 愛媛大学, 医学部, 研究員 (70314953)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 角膜実質 / ケラトサイト / レックリングハウゼン病 / バイオイメージング / 透明治癒 / 遺伝子組み換えマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
角膜実質混濁は高度の視機能低下を招き、QOLを低下させる。実質混濁の機序は炎症反応の遷延、実質細胞(ケラトサイト)の不規則な増生と形態異常など様々である。一方、神経線維腫症I型は頻度の高い遺伝疾患である。 我々は神経線維腫症Ⅰ型の上皮剥離後に上皮欠損の遷延と実質の混濁を来した症例を経験した。その原因遺伝子であるNf1をケラトサイトでノックアウト後に角膜上皮を欠損させるとヒト角膜と同様の所見を呈する。従来、NF1はRasを抑制することで、細胞増殖を抑制することが本態と考えられている。しかしバイオイメージングで観察するとノックアウトでケラトサイト増殖が最初に起きるわけではなく、角膜化学外傷に似た炎症反応が遷延することが解った。3種類の組織特異的Creマウス (K5Cre:表皮細胞でのみCre発現する遺伝子組み換えマウス、Keratocan-IRES2-nlsCre(KINC):胎生期眼周囲神経堤細胞由来細胞と生後ケラトサイトでCre発現するマウス、Keratocan-IRES2-CreERT2(KICE): tamoxifen腹腔内投与でケラトサイトにのみCre誘導できるマウス)とCre発現細胞で神経線維腫症I型原因遺伝子neurofibromin1のexon41からexon42の遺伝子を除去できるNf1flox/floxマウスの交配により組織特異的ノックアウトを作製し、さらに細胞分化標識と細胞増殖のバイオイメージング(ROSA26 FUCCI2:細胞増殖期の核を緑、停止期の核を赤に標識)の組み合わせにより、病態を明らかにし、このイメージングを手掛かりにこの実質再生に必要な情報を収集し、角膜透明治癒を目指した治療法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Nf1flox/floxマウスをROSA26 FUCCI2マウスと交配しNf1flox/flox /ROSA26FUCCI2 / FUCCI2のマウスコロニーを確立した。K5Creマウス、 KINCマウス、およびKICE:ケラトサイト、tamoxifen下でCre誘導)マウスをNf1flox/flox/ROSA26mTmG / mTmGおよびNf1flox/flox /ROSA26FUCCI2 / FUCCI2と交配し、6種類のマウスK5Cre/ Nf1flox/flox /ROSA26mTmG / wild 、KINC/Nf1flox/flox / ROSA26mTmG / wild 、KICE /Nf1flox/flox /ROSA26mTmG / wild 、K5Cre/ Nf1flox/flox /ROSA26 FUCCI2 / wild 、KINC/Nf1flox/flox / ROSA26 FUCCI2 / wild およびKICE /Nf1flox/flox / ROSA26 FUCCI2 / wildとそのコントロール(Nf1flox/wild)を作製した。KICEに対しては、tamoxifen誘導を行い(0.5mg/g・body weight in corn oil)、これらのマウスを上皮欠損後7日間経時的に観察し、混濁が生じた時期で安楽死させて、共焦点顕微鏡でケラトサイト、上皮、炎症細胞、神経の形態とケラトサイト、角膜上皮細胞の増殖をコントロールと比較した。KICE /Nf1flox/flox / ROSA26 FUCCI2 / wildでケラトサイトの消失や変性と線維芽細胞様変化を観察したが、フェノタイプの出現が一定ではないため解析には注意を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
フェノタイプの出現が確認されたKICE /Nf1flox/flox / ROSA26 FUCCI2 / wildとそのコントロールKICE /Nf1flox/wild / ROSA26 FUCCI2 / wildに対して、tamoxifen誘導(0.5mg/g・body weight in corn oil)と角膜上皮欠損のタイミングを数種類準備して、ケラとサイトの消失や変性と線維芽細胞様変化、細胞の増殖を検討して、レックリングハウゼン病による角膜混濁の阻止に対する治療法を検討する。
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