2022 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障視路変性における血液中エクソソーム解析による病態関連バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
20K09793
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
嶋澤 雅光 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (80381721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 英彰 岐阜薬科大学, 薬学部, 学長 (20381717)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エクソソーム / 網膜神経節細胞 / 緑内障 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、視神経変性に伴い変動するmiRNAを血液エクソソーム中において網羅的に解析することを目的として、マウス視神経軸索挫滅モデルの血清エクソソーム中のmiRNAを網羅的に解析した。雄性ddYマウスの視神経をピンセットで7秒間圧迫挫滅させることにより視神経軸索変性モデルを作製した。視神経障害を惹起した1, 3, 7, 14日後に採血し、血清を得た。得られた血清から血清用エクソソーム回収試薬を用いて高純度のエクソソームを得た。その血液由来エクソソーム中のmiRNAを次世代シークエンスにより網羅的に定量解析した。その結果、血液由来エクソソーム中に1,882種類のmiRNAを検出し、軸索挫滅後7日をピークに挫滅後1~14日間に有意(2倍以上の増減、p < 0.05)に変動した192種類のmiRNAを同定した。その192種類のmiRNAのいくつかは緑内障 (POAG)および正常眼圧緑内障患者の前房水中のmiRNAの変動と一致した。また、変動したmiRNAの標的遺伝子を解析したところ、神経栄養因子(Bdnf)の発現を抑制する複数のmiRNAが軸索挫滅1~14日にかけて増加した。さらに、その受容体であるTrkBの発現3および14日において減少、7日に増加、低親和受容体であるp75は14日に増加するようにmiRNAの変動が観察された。これらの結果は、miRNAにより軸索挫滅後に視神経の変性過程で神経栄養因子に対して抑制的かつ細胞死促進的な制御がおこなわれていることを示唆している。これらの変動を血液由来エクソソームにより捉えることができたことは、バイオマーカーとしての可能性が期待される。
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