2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of ocular blood flow and association with structure and function in retinal diseases
Project/Area Number |
20K09802
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
岩瀬 剛 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (80642339)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 眼循環 / 糖尿病網膜症 / レーザースペックルフルオログラフィー / 自己調節機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,眼循環が網脈絡膜疾患の発症・進行に対してどのように関与しているのかを調べることを目的として研究を進めてきた.まずは,網脈絡膜疾患に対する対象として,正常眼における血流動態を詳細に調べることが重要であるので,レーザースペックルフルオログラフィーを用いて網膜の上方と下方に分けて血流動態を詳細に検討した.上方の網膜では血流流速が速く,血流量が下方網膜より多いことを初めて見出し報告した(IOVS, 2020). 網脈絡膜疾患として,糖尿病網膜症における血流動態を詳細に調べ,糖尿病の病期が進行すると眼血流が減少していくことを突き止めた.さらにこの原因として,網膜動脈の血管壁が肥厚することで血管外径は変化しないが内径が狭窄することで,血流量が減少することを見出し報告した(Sci Rep, 2021).光干渉断層型アンギオグラフィーは血流が存在する部位を観察するのに優れており,毛細血管の血流動態まで詳細に調べることができる.この機器を用いて,手術前後での毛細血管の1つ1つの移動を調べることに用いた.黄斑前膜術後には中心窩近傍の毛細血管が放射状に広がっていくこと,網膜内境界膜を剥離していることにより,上方,下方,鼻側,耳側の4象限ではその移動量が異なることを突き止め報告した(Sci Rep, 2020). また,種々の条件下における眼循環動態の変化について調べ,データを蓄積することができた.また網脈絡膜疾患においては糖尿病網膜症や黄斑前膜のみならず,多くの種類の網脈絡膜疾患においても眼循環動態の変化のデータを蓄積することができ.これらの結果は順次,学会で報告し,論文として投稿する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網脈絡膜循環の自己調節機能を明確にすることや,正常眼データベースとの比較による網脈絡膜疾患における循環動態の異常を検出することを目的としている. 本年度には,今まで不明であった,正常人眼におけるデータベースを拡張し網膜の上下で血流動態が異なることを論文として報告することができた.また,網膜硝子体疾患として,糖尿病網膜症の病期の進行による血流動態の変化や,その原因について論文としてまとめることができた.毛細血管を詳細に検出することができる光干渉断層型アンギオグラフィーを用いて,それを指標として,網膜の移動について検討を行い論文としてまとめることができた.さらに他の網膜硝子体疾患についてデータを蓄積することができ,当初の目標を達成できているものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
正常人眼におけるデータベースを拡張し,それを基にして今年度に突き止めた網膜の上下で血流動態が異なることなどについて,さらに明らかにしていく.正常眼の自己調節機能については,酸素投与時や血圧上昇時などの負荷時においても解明し,学会発表を行い論文としてまとめる. 網膜硝子体疾患において,それらの自己調節機能がどのように正常眼と異なるのかを解明し,網膜硝子体疾患の早期発見や予後を調べる方法について検討を行う.また,網膜硝子体疾患における血流動態についてはレーザースペックルフルオログラフィーや光干渉断層型アンギオグラフィーを用いてさらに詳細に検討を行い,光干渉断層型を用いて形態的変化の検討,視機能などの機能的な変化の検討を行い,それぞれの関連についてデータを蓄積していく. 動物実験においてもヒトにおいては負荷を行うことができないような自己調節機能についての研究をすすめていく.
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Causes of Carryover |
本年度では,コロナ禍で人を雇って研究することが難しく,そこに関わる費用である物品費や人件費を使用することができなかった.さらに論文校正費を節約することができたため次年度使用費が大きく生じた.次年度では引き続き,研究に関する物品費,人件費や論文校正費に使用する予定である.
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Research Products
(22 results)