2021 Fiscal Year Research-status Report
HLAリスク因子陰性のベーチェット病患者を対象としたゲノムワイド関連解析
Project/Area Number |
20K09806
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山根 敬浩 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (30714448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目黒 明 横浜市立大学, 医学研究科, 特任准教授 (60508802)
水木 信久 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90336579)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ベーチェット病 / ゲノムワイド関連解析 / HLA / 疾患感受性遺伝子 / SNP |
Outline of Annual Research Achievements |
ベーチェット病は全身の諸臓器に急性の炎症を繰り返す原因不明の難治性炎症性疾患であり、口腔内アフタ性潰瘍、眼症状、皮膚症状、外陰部潰瘍の4症状を主症状とする。ベーチェット病は長期間に渡って再発と寛解を繰り返すため、ベーチェット病により重度の視力障害を来す患者は少なくなく、今なお失明率の高い疾患である。ベーチェット病は人種を超えてHLA-B*51アリルと顕著に相関することが知られている。また、近年の遺伝子解析研究により、HLA-A*26アリルもベーチェット病の発症に関与することが報告されている。一方、これらHLAリスク因子を保有しないベーチェット病患者も存在しており、ベーチェット病の発症にはHLA以外の遺伝子も多数関与していることが示唆されている。 したがって本研究では、既に取得しているベーチェット病患者のゲノム全域に渡る遺伝子解析(ゲノムワイド関連解析:GWAS)のデータを活用し、ベーチェット病の発症に関与するHLA遺伝子以外の遺伝要因(疾患感受性遺伝子)の網羅的なスクリーニングを実行する。 2020年度までに、日本人集団(患者611例、健常者737例)のGWASデータを用いて、HLAリスク因子陰性のベーチェット病患者と有意に相関を示すSNP(single nucleotide polymorphism:一塩基多型)を網羅的にスクリーニングしている。2021年度は、網羅的にスクリーニングしたSNPを対象に、日本人の追加集団および海外人種集団(トルコ人、イラン人)を用いて追認試験(再現性の検討)およびメタ解析を実行した。その結果、ゲノムワイドな相関(P<1×10-8)を示すSNPを複数同定した。現在、同定したSNPが位置する遺伝子領域を対象とした機能解析(遺伝子発現解析、立体構造解析)を実行し、同定したSNPが関与するベーチェット病の発症メカニズムの解明を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、既に取得している日本人集団のGWASデータを用いて、ベーチェット病の発症に関与するHLA遺伝子以外の疾患感受性遺伝子の同定を行う。 現在までに、日本人集団のGWASデータを用いた解析により、HLAリスク因子(HLA-B*51、HLA-A*26)陰性のベーチェット病と有意な相関を示す疾患感受性SNPの網羅的なスクリーニングが完了しているとともに、同定した疾患感受性SNPを対象とした、新たな日本人集団および海外人種集団を用いた追認試験およびメタ解析を完了し、HLAリスク因子陰性のベーチェット病とゲノムワイドな相関(genome-wide significance)を示すSNPを複数同定している。 以上より、本研究は当初の研究計画のとおり、「おおむね順調に進展している。」といえる。今後引き続き研究を進めることで、当初の目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
HLAリスク因子陰性のベーチェット病とゲノムワイドな相関を示すSNPについて、各々のSNPが位置する遺伝子領域を対象に機能解析(遺伝子発現解析、立体構造解析など)を実行し、同定したSNPが疾患感受性遺伝子の機能に与える影響を検討するとともに、同定したSNPが関与するベーチェット病の発症メカニズムの解明を行う。
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